本作は、アメリカンアニメーション作品「ファミリーガイ」をスマートフォン向けゲームにしたもので、内容は3マッチ式のパズルというごくシンプルなものとなっている。
シンプルであるが、サブタイトルにあるように、設定や演出などが異様で、まさに「狂っている」
3マッチパズルといえばクッキーや宝石などのファンシーでメルヘンチックなものがパネルになっているものだが、本作においてはパネルとなるものは、なんと酒!
やってきた客の要望に応えて、ひたすら酒を提供していくという、色々と不安になってくるゲームテーマであるが、そもそも元となっている作品がヤバいというか「狂ってる」内容なので、知る者としては納得のいくものだといえるだろう。
ストーリー
原作「ファミリーガイ」は、1999年よりアメリカにて放送されている息の長いアニメ作品。
「家庭思いの男」という意味のタイトルであるが、その父親のせいで毎回事件が起き、ドタバタコメディとして発展していく、というのが基本コンセプト。
いわゆるシンプンソンズやサウスパークと同じ作りで、ブラックジョークが素材となっているわけだが、その両作品と比べてもなお「ヤバい」と感じさせられる過激すぎる内容で、アメリカの「最悪番組賞」の常連作品ともなっている。
時事ネタや歴史や政治を茶化す批判的なジョークだけでなく、人種差別なども平気でネタとして使うため、日本ではとても流せないエピソードばかり。一応ひっそりとDVDボックスが発売されているが、吹替すら入っていなかったりする。
本作でも明らかにアルコール中毒への揶揄がこもっているが、これよくアップルの審査とか通ったよなぁと思うばかり。
ゲームシステム
ステージには今のところ4種類のクリア条件があり、同じ3マッチパズルでもそれぞれ違った遊びとなり、飽きが来難くなっている。
クリア条件は、客の注文に応えて酒を提供していくもの、散らかした酒瓶を全て集めるもの、氷から化粧品を掘り出すもの、そして巨大ニワトリ「アーニー」と戦うといったものがある。
集めるものが途中からコンドームに変わったりとか、パネル自体がヤバくなってくるから要注意だ。
原作の舞台である架空の町「ロードアイランド州クォーホグ」を出発して、主人公ピーター・グリフィンの酒を売り歩く旅が始まる。
ステージは200近くあり、やり応えは充分。
途中、原作の名シーンなどを見ることもできるだろう。
時折挿し込まれる会話劇は、原作同様でヤバく、日本の倫理規定や放送コードでは明らかにアウトなものばかり。でも審査を通ったんだから大丈夫。たぶん。
ちなみに「カットアウェイ」とは、メインの被写体から別の被写体に飛ぶように繋ぐ編集技法を示した映像用語のこと。原作アニメでよく使われる方法というか、ネタでもある。
ステージクリア時には、豪華でド派手な演出と、愉快?なダンスを見ることができる。
原作アニメを知る者にとっては、かなりマニアックなキャラまで登場してくることもあるので、クリアするほどに楽しみは広がっていくだろう。
グラフィックや音楽
そもそもこの題材とこのゲーム内容で、美麗さや豪華さなどは必要ないのであるが、しかしステージクリア時のダンスなどやたら気合いが入っており、ついつい見入ってしまうほど。
オープニングのアニメーションも描きおろしで、ヤバい奴らのヤバいアクションを高クオリティの動画で拝見できる。
名シーンコレクションなど、収集要素もしっかり作られており、侮れない。
総合評価
よくある3マッチパズルゲームなのに、題材にした作品が作品だけに、異様な迫力と存在感を持ったゲームとして成立しているように思う。
そしてそれが単なるネタゲームではなく、パズルゲームとしてしっかり作り込まれているところが、かえって珍妙さというか、不可解な面白さを生み出しているのではないだろうか。
原作を知らない人や、絵やテーマに引っ掛からないようなユーザーでも、実際にプレイしてみると、意外とハマってしまう人も多いかもしれない。
ただ半端ないブラックジョークの連発なので、過激さや下品さ、暴力や差別などが苦手な人は絶対にプレイしない方がいいだろう。