ゲームヴィルジャパンより、2017年4月26日から配信開始となったばかりの本作は、スマートフォン向け戦術シミュレーションRPGで、あの歴史的名作「タクティクスオウガ」などを彷彿とさせる本格的な内容となっている。
オーソドックスなターン制で、3Dマップによる高低差を利用した有利不利のシステムを採用しているなど、もはや古典を再発掘しているような作品であるともいえるだろう。
オールドゲーマーには郷愁を、そして新しいプレイヤーたちには歯応えのあるゲーム性を与えてくれる作品だ。
ストーリー
舞台となるのは、王道の中世ヨーロッパ調のファンタジー世界「ミッドランド」
終わりなき戦乱の中、古より定められた運命の子どもたちが立ち上がり、苦難に満ちた戦いの日々に身を投じていくことになる。
プレイヤーは、主人公の少年騎士「アシュリット」と、エルフの「ライリス」を操り、次々と振りかかってくる火の粉を払っていく。
様々な英雄たちとめぐり合い、一団がにぎやかになっていくにつれて、陰では巨大な陰謀が動き出し、やがて物語は世界の命運を決める壮大なものへと展開していくのである。
公式のアプリ紹介
ゲームシステム
コンテンツ数はそれほど多くないが、他プレイヤーと1VS1で戦える「騎士戦」などもある。
これはマッチングされた相手と、同時に編成を行うという、実に興味深いシステムになっている。しかもユニットはレベル固定なので、編成の戦略面、そしてバトルでの戦術面の優る方が勝つという、きわめてゲーム性の高い、実力主義の内容になっている。
シナリオ数はふんだんにあり、やり応えはばつぐんだ。
また同じステージでも、初期配置がランダムに変わるので、アイテム獲得のための周回プレイなどでも、それほど緊張感が崩れないプレイを楽しめるだろう。
ターン制で、全てのユニットが行動を終えると、行動権が敵側へと移る。
行動は、マップ上のマス目の移動と、敵への攻撃、あるいはスキル使用が行える。
距離、高低差、範囲、属性など、様々な条件によりダメージ値が変動するので、プレイヤーは常に自軍が有利に立ち回れるよう、先を読みながらユニットを行動させていかなければならない。
メインクエストの前後では、フルボイスの会話劇によりストーリーが進行していく。
ユニットはストーリーの進行だけでなく、ガチャでも増やすことが可能。多種多様なキャラクターがプレイヤーを待っている。
グラフィックや音楽
グラフィックは美麗で、光や風などの演出も素晴らしく、音楽も力強く、全体的にクオリティは高いといえる。OPにはアニメーションもあり、製作陣の気合の入りようが窺えるというものだ。
またキャラクターデザインが、古典と流行の境目を探ったような絶妙なバランスで描かれており、ゲームに強い独自性を与えているようにも感じられた。
さらにそんなキャラクターたちには、それぞれボイスが付いており、ストーリーがフルボイスで展開していくというのは特筆すべきところといえるだろう。
キャスティングも、雨宮天とった若手人気声優から、諏訪部順一に鈴木達央、釘宮理恵に日笠陽子といった人気実力共にある声優、さらに速水奨や檜山修之というレジェンド級のベテランまで、まんべんなく取り揃えられた、豊かなでたいへん魅力的なものとなっている。アニメファンや声優ファンなども大いに注目すべき作品
総合評価
きわめてハイクオリティなシミュレーションRPGなので、このジャンルのファンからすれば、待ってました!といわんばかりの作品であるといえるだろう。
ただジャンルのファンからしても、あまりに古典のシステムに重きを置きすぎて、目新しさがまるでないのはマイナスと感じる人もいるはず。
例えば高低差や属性といった戦術性は、これまで多くの作品にあったものばかり。ここに何かもう1つ、独自のシステムや設定なりが盛り込まれているだけでも、作品の印象は大きく変わったようにも思える。
また、スキルなど育成要素が濃いわりには、装備品がアクセサリばかりなど、極端に薄くなってしまっているところも散見できる。せっかくの世界観が徹底されていないような感じはとても惜しく感じられてしまう。
それでもやはり、ハイクオリティなキャラクターデザインや3DCGの数々、そしてフルボイスなどは魅力的。キャラクターゲームとしても大いに魅力を感じられるボリューム感だ。
どんどん物語が壮大になっていく構成も良い。気忙しさのない内容なので、じっくりと自分のペースで楽しみながら進めていけるゲームといえるだろう。