『ソニックCD』はセガネットワークスによるセガ旧作品のスマートフォン版移植の1つで、タイトルそのまま、かつてメガCDと呼ばれる機体で遊ぶことができたソニックシリーズ内のこの1作を遊ぶことができるのである。
内容は横スクロールアクションゲーム。音速のハリネズミ「ソニック」が、目にも止まらぬ超スピードで画面を駆け回るといった、たいへんダイナミックかつスピーディなゲームとなっている。
1993年に発売された本作は、長いシリーズの中でもかなり評価が高く、これまでもWindowsやゲームキューブにPS2など、幾度となく移植され続けてきたタイトルなので、それをスマートフォンという環境で「持ち歩く」ことができるようになるとは、なんとも良い時代になったものである。
ゲームシステム
トップ画像で分かるように、あの頃のソニックがそのままスマホアプリとして委嘱されている。本当に懐かしのタイトル画面である。
『ソニックCD』は番外やスピンオフ作品を含めれば40以上はあるだろう歴史あるシリーズの3作目に当たる。独自性の高いハイスピードアクションに多くのプレイヤーが魅了され、現在に至るまでシリーズが続いているビックタイトルとなった。
ストーリー
物語は毎度お馴染み、平和を乱す悪の科学者ドクター・エッグマンと戦うといったもの。アクションゲームらしく、とてもシンプルで、とっつき易い。
ただ今作でエッグマンが行った悪行は、時間をコントロールする「タイムストーン」を盗み出すというもの。これによって、主人公ソニックはステージ上でタイムワープによる時間移動を行うことになり、過去と現在と未来を行き来するという、昔の2Dアクションゲームとは思えないほどの奥行きのあるゲーム性を楽しむことができるのであった。
またソニックと同等の力を持つというエッグマンのロボット「メタルソニック」や、現在とデザインや設定が異なるもののシリーズにおけるメインヒロインの1人ともいえる「エミー・ローズ」が今作で初登場。シリーズのファンにとっても重要な作品といえるだろう。
概要
93年という大昔であるが、なんとOPとEDはアニメーション。しかもそれは今回の移植版にもきっちり使用されている。
制作はあの有名な東映アニメーション(当時は東映動画)で、メガCD版ではドット絵で打ち直すという荒業によって表現されていた。
操作とプレイ内容
『ソニックCD』のプレイ操作は当時のままの設定が守られている。スマートフォン版の操作は仮想パッドによる。左下が左右移動やしゃがみなどができる移動十字キーで、右下がジャンプボタン。
下+ジャンプでスピンダッシュなど、シンプル操作ながら自由度はけっこう高い。
体力ゲージなどの概念はなく、所持しているリングがゼロの状態でダメージを受けるとアウトとなる。なので常にリングは1枚でいいので所持しておくべき。
道中にはバリアや倍速など、様々なアイテムも隠されている。
ゲームモードにはタイムアタックなども用意されている。
セーブ機能もあるので、ちょっとした空き時間に1プレイという遊ぶ方もできるだろう。古き良き時代を噛みしめながらじっくりと楽しもう。
総合評価
グラフィックはメガCDという本体の大容量を活かした、当時ではかなりの高クオリティと評価されたものであった。そもそも93年という時点では、アニメーションのOPという時点で驚異的といえるほどのもの。ゲームはここまで進化したのかと驚嘆していたのだ。
また音楽は今現在でも高く評価されている傑作である。実は国内版と北米版で一部使用されている音楽が異なっていたりするのだが、これらは近年に発売されたサウンドトラックCDやベストアルバムなどで聴くことができる。ソニックが会社の枠を超えて「大乱闘スマッシュブラザーズ」に参戦した際には、本作のテーマ曲も使用されていたりもする。
ちなみにヌルヌル動くアニメーション画面に合わせて流れている主題歌を歌っているのは宇徳敬子。ソロ名義の最初の仕事である。人に歴史あり、といった感じだ。
改めて遊んでいて思い知らされたのは、今プレイしてもそれほど古さは感じられない、といった点であった。とにかくスピード感とダイナミックさに溢れた作りはアクションゲームとしてきわめて優秀で、完成度が高い。この面白さはそう簡単には色褪せないことだろう。
また今回スマートフォンという環境に移植されたことで、初めてソニックシリーズに触れた若いプレイヤーにとっては、このなかなか類似性のないアクション性は、かなりの「新しさ」を感じることができたのではないだろうか。3Dのソニックにしか触れたことがないプレイヤーにとっても、2D独特の感覚は新鮮味を覚えられるかも。
コンシューマーゲームの完全移植ということで『ソニックCD』をダウンロードするにはお金がかかってしまうが、ゲームセンターでのワンプレイ分ほどしかかからないし、たまにセガのセールなどで割引や限定無料配布などが行われることもあるので、ぜひとも触れていただき作品である。そこではまさしく温故知新という体験ができることだろう。
口コミ
『ソニックCD』は過去の作品であるため、今更口コミを気にするようなレベルではないのだが、口コミを見ていて気になるものがいくつもあった。
これはAndroid版の口コミだが、アプリ内でゲームを終了させてもアプリ自体は起動したままになっているようだ。スマホのシステムで強制終了させるしか方法はないだろうが、確かにこれは面倒だし、このせいで充電がなくなるというのであれば、強制終了した上で節電アプリなどを使ってアンインストールするしかないだろう。
この不具合のせいで評価が下がっているが、口コミを見ている限りでは純粋にゲームとして楽しんでいる方も多い。もちろん、レトロゲームなので「つまらない」などの否定的なコメントをわざわざ書き込んでいるプレイヤーもいるが、25年前のゲームであるという事を考慮すれば感動以外の何物でもないのは筆者だけではないはずだ。