『三國クロスサーガ ~蒼天の絆~』は2015年6月16日より配信開始となったスマートフォン向け戦略シミュレーションRPGである。
日本人にもお馴染であり大人気でもある『三国志』を題材に作られた世界を体感しつつ、有名武将を集めて育成し、作り上げた軍団を指揮して天下統一を目指すのだ。
緻密に組み立てた戦略と手軽な操作でド派手な戦闘と国盗りを繰り広げ、重厚な歴史の世界を駆け巡ることができるゲームアプリである。
ストーリー
もはや自国の歴史のごとく馴染みのある「三国志」の時代と物語が展開するゲームである。
プレイヤーは何者かに浚われた幼馴染の少女「貂清寒」を探す旅に出て、戦乱に巻き込まれ、戦い抜く内に一国の城主となり、三国が争うあの時代を生き抜いていくことになる。
そうした王道的なシナリオを根幹として、国境や時代を超えた有名武将たちを集め、育成し、天下統一を目指す国家を作っていくのだ。
ゲームシステム
ゲームを開始すると、まずはいきなり「最終決戦」のような場面が描き出され、あれよあれよという間に戦闘が進んでいく。
様々なキャラクターが次々に登場してド派手なバトルが展開するが、何が起こっているのかわからない状態の内に決着はついてしまい、なんとその瞬間、主人公が唐突に「もし30年前に戻ることができれば……」と口にすると、時代が一気に30年前へと遡り、そこで本当のゲーム開始となるのであった。
ちょっと唐突すぎるというか強引すぎるというか、なんだか突き放されたような冒頭部分ではあるが、すぐにチュートリアルが始まって少しずつ世界観や状況が説明されていくので、次第に疑問は解消されていくことだろう。
プレイヤー(主人公)は一国一城の主となり、天下統一を目指すこととなる。
自国表示のメイン画面にはたくさんの項目があり、初めは混乱するかもしれないが、ナビゲーターの案内に従っていく内に慣れてきて、その頃にはフレンドや連盟といった他プレイヤーとのコミュニケーションツールも開放されていていくという、ユーザーにたいへん親切なシステムとなっている。
ゲームを進めていけばいくほど新しい要素が開放され、ミニゲームなどもできるようになるので、内政で国を発展させているかのような感覚も味わうことができる。
戦闘はリアルタイムに進んでいく形式で、簡単操作でありながらもなかなかに緊張感のある作りとなっている。
まずはシミュレーションRPGらしく布陣から。
プレイヤーは相手と味方武将の相性や距離、さらには攻撃範囲などをよく考えて布陣する必要がある。戦闘はほとんどオートで進むが、時間経過で「怒気」というゲージが溜まった武将をタップすると固有スキルが発動する。強力でド派手な必殺技がタップ一つで繰り出せるのは爽快感がある。
また、さらに爽快なのが、特定の武将を組み合わせての連携スキル、通称「絆スキル」である。これが完成すると、画面いっぱいに武将たちのカットイン演出が入り、敵陣に猛撃を与えるのだ。
国や時代を超えて綺羅星の如く揃った武将たちはスマートフォン向けゲームアプリらしくガチャなどで手に入れることができる。ここまではごく普通であるが、この武将たちを複数の要素で育成していくことができるというのがこのゲームの大きな特徴である。
まずはオーソドックスな、不要な武将を素材してレベルを上げていくというもの。これは武将の他にはアイテムやお金を消費して行うこともできる。
次に「成長」という項目があり、これにはお金か成長石という素材を使用する。成長度を上げると兵力が数パーセント上がったり、特定の国家に対するダメージ数が増減したりと、個々様々に特典が設けられている。
またもう一つ「訓練」という項目もあり、訓練材料を消費することでステータスをわずかに上げることができる。しかもこれは訓練した回数に応じてボーナスポイントが付くので、やればやるほど強くしていくことが可能となるのだ。
このように、自分の好きな武将をガンガン鍛えていくことができるという、三国志の武将たちというキャラクター性が最大の魅力であるということを実によく理解したシステムとなっている。
実写寄りの渋めのキャラクターデザインが、美しく鮮やかなグラフィックで描かれていて、絵からして「王道」を感じることができる。
この屈強でカッコイイ男性武将と、優美で艶のある女性武将たちにはボイスも搭載されており、メインキャストには諏訪部順一に花江夏樹といったスター声優たちが並んでいる。
またナビゲーター役となる「小玉」という可愛らしい女の子は有名女性声優の花澤香菜が演じていて、物語に花を添えてくれている。
総合評価
簡単操作でスキルを乱発できる爽快感は魅力的で、その上で戦闘までの準備が、絆をよくよく考えた編成と布陣、そして多彩な武将育成要素と、緻密かつ様々に試行錯誤できる戦略性の高さがあるという、動と静が噛み合ったような、実によくできたゲームであると感じられた。
シナリオを進めつつレベルが上がっていけば、対人戦やランキング戦、矢集めや占いなど様々なミニゲームが開放されていくという、親切設計でありつつ、とにかくプレイヤーを長く楽しませようとする要素が山のように詰め込まれているのはたいへん素晴らしい。
三国志ゲームは世に多々あるが、無骨ともいえる硬派な雰囲気を前面に押し出したスタイルはかえって新しさも感じられることだろう。