本作は、PC用ネットゲームとして配信されていた「カオス・ヒーローズ・オンライン」というゲームを、スマートフォン向けにリメイクした作品で、バトルシステムをターン制のコマンド選択式にしたりするなど、大幅な変更を加えている。
プレイヤーは、オーソドックスなシステムのバトルを楽しみながら、世界を破滅から救うための壮大な冒険劇が展開するストーリーを追っていくことができる。
ただ、操作は簡単でありながらも、状態異常やエンチャント効果などが複雑に設定されており、戦術性も戦略性も高い、かなり奥深いものになっているのには、大いに注目できるだろう。
やり込むほどに骨太さが増していく、実に本格的なRPGなのである。
ストーリー
舞台となるのはニューリア大陸と呼ばれる架空の世界で、剣と魔法、神と悪魔が混在する、王道のファンタジー設定となっている。
冒頭から、眠りについてしまった主神アルエルと、地上世界を破滅させようと動き出す創造神ラデスといった、壮大な物語が展開。プレイヤーはその破滅を止めるべく、様々な部族の英雄たちと共に、冒険を繰り広げていくことになる。
英雄だけでなく、神も悪魔も仲間になっていくので、かなり「濃い」パーティを作ることができるだろう。
ゲームシステム
海外製ゲームらしく、コンテンツ数が多いだけでなく、ログインボーナス設定や課金プランもたくさんあり、自由度は高い。
慣れない内はごちゃごちゃしているように思えるかもしれないが、表示などがきちんと整理されていることもあって、実際遊んでみればそれほど気にはならないはずだ。
冒険はステージクリア制。
コンテンツだけでなく、ステージ数も膨大で、遊び応えは抜群。簡単には遊び尽くせない。
バトルはターン制のコマンド選択式。各キャラクターの行動値が溜まった順に動かしていく。
スキルは単に大ダメージを与えるものではなく、バフ・デバフが中心。相手の出方に合わせて対抗したり、打ち消したりと、戦況をコントロールすることこそが重要となるのである。
ステージの前後には会話劇が挟まれることもある。
英雄と神、さらには悪魔まで入り混じった壮大な物語を体感しよう。
バトルの高い戦術性と戦略性は、巨大なボスバトルに、よりいっそうの緊張感と達成感を与えてくれるだろう。
キャラクターは。スマートフォン向けゲームではお馴染みの「ガチャ」でも獲得できる。
獲得したキャラクターには、装備や進化などが可能。
育成要素は、かなり充実したものだといえるだろう。
グラフィックや音楽
超美麗な3DCG!と謳い文句が掲げられているが、正直それほどたいしたことはない。数年前ならば大いに驚かされたかもしれないが、今となってはありふれたものであるどころか、他と比べてかなり低クオリティに感じてしまうほど。
動き自体はそれほど悪くないように思えるのだが、全体的にデザインが古くさいせいなのか、それとも2Dイラストとの落差が激しいからなのだろうか。どうにも高い評価はできないところがある。
しかしカメラワークなど、演出面はなかなか良く、バトルに確かな熱が感じられる。エフェクトなどもかなり凝っている様子が伝わってくるので、ここは素直に高く評価したい
総合評価
まさしくRPGの王道中の王道といった作りで、さすがに目新しさはないが、それだけに非常に安定感のあるゲームとなっている。
ただ、複雑ともいえる戦術性と戦略性の高さは、初心者やライトユーザー向けとはとてもいえないものがあり、簡単操作でありながら内容は玄人向けという、いささかアンバランスなものともなっているように思えた。これは、かなり人を選んでしまうゲームではないだろうか。
それでも、倍速やオート、さらにスキップなど、スマートフォン向けRPGに必要なシステムもしっかり備わっているところも好印象。特に確定キル表示などは、他のゲームにもぜひ導入してほしいとすら思えた。
全体的にゲームデザインはたいへん優れたもので、実に遊び易く、バトルの難易度というか、複雑さだけでもいくらか軽減していれば、もっと多くの層にオススメできる作品となったことだろう、
また、ボイスが韓国語と英語しかないというのも残念なところ。ヘルプの煩雑さなども多く見てとれるので、あまり日本市場に対しては本腰ではないのかもしれない。