NetEase Gamesより配信されている本作は、人気スマートフォン向けRPG「陰陽師」のキャラクターと世界観を用いたスピンオフ作品的なゲームで、内容はアクション要素の濃いリアルタイムバトルを楽しめるMOBAとなっている。
最大5VS5のオンライン対戦は、互いに拠点である石塔を破壊していき本陣攻略を目指すオーソドックスな形式がメインで、戦略性のあるチームバトルが展開されていく。
ユニットのステータスは初期値がゼロで、バトル中にアイテムで上昇させることはできるが、その1バトルが終わる度にまたリセットされるという、これまたMOBAによくあるシステムが採用されているので、無課金でも充分に楽しめるようになっている。
ストーリー
対人戦がメインというか、それが全てという潔い作りなので、ストーリー性はまったく薄く、キャラクター同士の掛け合いや台詞の意味を知るには、原作ともいえる「陰陽師」の方をプレイしなくてはならないだろう。なので、このゲームで初めて世界とキャラクターに触れたというユーザーには、いささか壁のようなものがあるともいえる。
ただそれだけに、原作ゲームのファンにとっては、再現性の高いグラフィックや台詞により、世界観を存分に楽しめるものとなっている。こういった点からすると、完全にファン向けに作られた作品といえるのかもしれない。
ゲームシステム
ゲームを開始すると、まずは4人の中から1人の陰陽師を選択することになる。
ただ、バトルでは「式神」を操作することになるので、ここはもう見た目や声といったプレイヤーの好みだけで選んでしまっていいだろう。
文字だけでなく、ボイスまでも日本語、中国語、英語から選択できるようになっている。
声優にあまり興味がないユーザーならば、あえて中国語にすることで、より高い臨場感を味わえるかも? いや、日本が舞台の作品だからそんなことはないか……
バトルはバーチャルパッドによる操作で、スキルボタンをタップするだけで、ド派手な攻撃を繰り出すことができる。
敵陣に攻め込み、途中の石塔を破壊して相手の防御力を落とし、本陣陥落を目指すことがゲームの目的となる。
雑魚を倒して経験値やお金を稼げば、スキルをレベルアップさせたり、ステータスを上げたりすることができる。
当然、相手チームのキャラクターと戦うこともある。倒されると、それだけチームの戦力が落ちてしまうことになるので、相性やプレイヤーの技量を見極めて、無理をせずに相手をしていくことが肝心。
2VS1の状況など、集結すればそれだけ優位になれるので、チームメイトとの連携は最重要。ミニマップでよくよく動きや戦況を把握しておくべき。
敵本陣である、神社の結界を破壊することができれば勝利。
戦術によっては、一発逆転も可能なのだ。
バトル前の準備も重要で、戦いに合わせた調整によりかなり有利になることもある。
スキン(見た目)はガチャで獲得することができる。好きなキャラクターのものを狙って、回してみよう。
グラフィックや音楽
元々原作からしてかなり高いグラフィック性能であったのだが、本作ではそこにさらにアクション性の高いモーションが加わり、キャラクターの個性的かつダイナミックな動きと、細やかな仕草の数々を堪能することができるようになっている。ハイクオリティな作品といっていいだろう。
また、キャラクターボイスも原作ゲーム版そのままで、梶裕貴に緑川光、豊崎愛生に早見沙織、さらには高山みなみや大谷育江、井上和彦や関俊彦といった、あらゆる世代の実力派声優たちがズラリと揃っているという、たいへん豪華なものとなっている。声優ファンも要チェックの内容といえるだろう。
総合評価
MOBAとして考えると、システムのやや煩雑なところや、やたらと説明不足なところ、そしてキャラクターの動きと設定にクセがありすぎて自然と性能差が生まれてしまっているところなど、惜しいところが多く、他のMOBAからわざわざ乗り換えるほどの魅力は薄いといわざるをえないところがある。
ただキャラクターの動きは本当に良く、あらゆる表現性が高いので、原作ゲームのファンは間違いなく楽しめるはず。
また、その個性的なところがあるからこそ、操作感に手応えと面白味が生まれ、飽きが来にくい。MOBAに興味があるが、なかなか入れずにいる初心者などに、かなり向いているところがある作品といえるのかもしれない。