『戦国の虎Z』は戦国時代を舞台にオリジナルのアバターをカスタマイズして他のプレイヤーと戦う、戦国アバターゲーム。
戦国の虎は一昔前に隆盛したカードゲーム型RPGで、決定ボタンをタップしていくだけで進んでいくタイプのゲームである。
やり尽くされた感しかないジャンルに、これまたモチーフにされ尽くした戦国時代という舞台。独自性という点では漂うヤンキーテイストがあるくらい。
ただこれも同社が暴走族バトルゲームを作っているからで、ちょうどよく流用できたというだけにすぎないのではないだろうか。
ストーリー
時は戦国時代 ――
この戦乱の中、プレイヤーであるあなたは、ヒロインのオイチと共に、魔王ノブナガを打倒するために立ち上がるのだ。
ゲームシステム
ゲームは冒頭でも触れた通り、とにかくボタンをタップして進めていくだけ。
ゲーム流れを簡単に流れを説明すると、まずは修行ボタンを押し、経験値とお金を集め、自キャラを強化する。強くなったらバトルに出て、敵を倒す。
これが全てである。
バトル
バトルも自分と敵のステータスが表示されるので、勝てるかどうかが勝負の前にわかる。勝てそうなら挑み、勝てないならその前の修行で鍛える。
バトルコマンドには「攻撃」と「奥義」と「逃げる」の三択だけ。
しかし驚くべきことに、この三択しかないというのにオート戦闘ボタンが存在する。戦いに思考など不要!必要なのは筋肉だけ!という方にはうってつけのボタンだ。
また本作は戦国でありながらパーティーという概念すらなく、主人公たった独りで戦い続ける。まぁ敵も独りでタイマン勝負になるからいいのだろうが。なのでとにかく主人公を強化しまくろう。
レベルを上げてステータスを上げるか、稼いだお金を使って武器防具を揃えたりしよう。ステータスは攻撃、防御、早さ、気合の4つしかないので、これもとっても簡単だ。
育成
鍛冶屋では装備を強化することもできる。集めた素材をつかってお気に入りの装備を鍛え上げていこう。他にもステータスにはまったく影響を及ぼさないが、美容院で髪型を変えることもできるなど、アバターゲームらしいコンテンツで楽しめる。
そして『戦国の虎Z』は、パーティーという概念はなくとも、フレンド機能は備わっている。
さらに「一門」と呼ばれるギルドシステムもあり、加入することでバトルを有利に進めたり、よろず屋に並ぶアイテムが追加されたりといった効果がある。
合戦モード
2016年1月から「合戦」モードが新たに搭載された。これはリアルタイムシュミレーションバトルのような形式で、プレイヤー同士のチーム戦となる。
プレイヤーは敵陣営目がけて進軍し、時間内に敵の城を落とさなくてはならない。プレイヤーキャラにはジョブ機能が加わり、武士や槍使いなど異なる攻撃法や移動距離のキャラクターを、敵のジョブとの相性を考えながら有効に動かし、仲間と力を合わせて勝利を目指すのだ。
グラフィック・デザイン
有名な戦国武将たちが奇抜なデザインによって描かれているのが本作の特徴。匂い立つようなヤンキーテイストから、完全に狂ってるとしか思えない服装のキャラなど、まともなキャラクターの方が少ないくらいに感じる。好きな人は好き、という他はないイラストの数々だ。
装備には全て色違いを用意している!と公式に記載されているが、今時に色変更程度で大喜びする人がいるのかは疑問。自由自在にコーディネイトして、戦友にファッションを自慢しよう、というコピーから考えても、なるほど提供先となる顧客をよくよく絞ってゲームを作っているのだということがよくわかる。
リサーチとベクトルの決定が的確というのは、優れた製作能力だといえるだろう。
総合評価
本当にボタンをタッチするくらいしかやることがないので、これをゲームといっていいのかどうかもわからない。ただこういう心底簡単なものが求められているからこそ、こうして作られているのだろう。
電車の中、休憩時間の控室、テレビを見ながら……そういった中で片手で全てが片付くゲームという現代的なコンセプトで作られているのだ。おそらく。
グラフィックという点では少し評価を落とした着せ替え機能も、脛当てから下着まで設定できる8項目もある防具など、顧客マーケティングに根差した拘りは随所に感じられる。
しかしいくらなんでも広告が多すぎる。せっかくのゲーム性の手軽さも、いちいち広告が出て画面を塞いだり、ゲームを評価することを求められたりすると、進行が遮られて少々腹立たしくもある。
広告が減ってくれれば、もう少し快適にプレイ出来そうなので、今後のリニューアルに期待したい。