スクウェア・エニックスにより配信されているトリニティマスター通称トリマスは、リアルタイムのオンライン対戦ができるタワーディフェンスゲームであるが、メインユニットをプレイヤー自身の操作で動かして戦うことができるなど、従来のタワーディフェンスゲームにはない面白さとゲーム性を追求した内容となっている。

ユニットはスキルツリーによる自由度の高い育成や、装備品の強化ができるようになっていたりと、ＲＰＧの要素も濃い作品。

また、そうしたユニットは、それぞれタンク・アタッカー・ヒーラーといったロール（役割）が決められており、能力に合わせた立ち回り方が必要となるなど、最近流行りのＭＯＢＡの要素も詰められている。

まさしく、様々なジャンルの要素が詰まった複合的なゲームともいえるだろう。

ストーリー

メインコンテンツは対人戦であるが、シングルプレイのゲームモードもあり、しっかりとしたストーリーも用意されている。

本作の舞台となっている世界が、かつて魔王に敗北した世界であるというのは、なんとも興味深いもの。

かつて敗北し、粉々に砕かれてしまった英雄（ヒーロー）が復活し、復讐を果たさんとする、というのが大まかな話の流れとなるが、何やら魔王軍側にも様々な事情や思惑があるようで……

ゲームシステム

ゲームを開始すると、好きなヒーローユニットを１体選択し、チュートリアルに進むことになる。

ここに書かれているように、他の２体のユニットもすぐにガチャなどで手に入れることができるので、まずはなんとなくのフィーリングで選んでしまってかまわないだろう。

基本的には対人戦を繰り返してアリーナレベルを上げていくことがメインとなるが、レベルが上がっていけば大会などにも参加できるようになり、やるほどにコンテンツが拡大していくことになる。

対人戦コンテンツ以外にも、シングルプレイのストーリーモードを楽しめる「ダンジョン」というコンテンツもある。

序盤はこちらを優先して進めて、パーティ強化に努める方がいいかも。

ダンジョンのステージでは、ストーリーが進行するアドベンチャーパートが挿入されることもある。

意外とテキスト量が多く、かなり読み応えのあるシナリオとなっている。

準備が整ったら、いざ対人戦へ。

勝利を重ねて、その報酬で更なるパワーアップを図っていこう。

バトルは、メインユニットのヒーローがセミオート形式。画面の左右を長押しすることで自由に移動させることができる。

サブユニットであるミニキャラたちは、フルオート形式。召喚すれば自動で動き、戦ってくれる。

様々なユニットやスキルを活用し、相手チームのヒーローのＨＰを削りきるか、タワーを陥落させたら、勝利となる。

グラフィックや音楽

絵や音など、全体的にクオリティは高い。

たしかに超美麗なグラフィックとはとてもいえないものがあるかもしれないが、ＳＤキャラクターのようなデザインを活かした見せ方や演出が上手く、バトルに確かな迫力が生まれている。

さすがスクウェア・エニックスといえる、高い完成度だ。

また、本多真梨子や武石あゆ実といった、若手声優の元気いっぱいなボイスが付いているところも魅力的。

さらにキャストの１人であるアイドル声優の芹澤優は、トリマス公式サポーターとして主題歌を歌い踊り、配信動画で大々的な宣伝活動も行っている。声優ファン要チェックの内容だ。

総合評価

タワーディフェンスゲームにＲＰＧやＭＯＢＡの要素を足したようなゲーム内容であるが、きちんと引き算もできており、気軽に気楽に楽しめるライトゲームとして成立している。ちょっとした息抜きや時間潰しに最適といえる作品だろう。

ただ、１ゲームにかかる時間が短いわりには、妙にテンポが悪いような印象も受ける。それはおそらく、突っ込まずに慎重に行動してしまったからなのかもしれないが、しかし下手に突っ込んでヒーローユニットが死んでしまうと即敗北という設定なのだから、どうしても慎重にならざるをえないのである。どうせならＭＯＢＡのように、復活までに時間を要するとか、そういった設定の方がよかったように思う。

また、ユニットの単純な能力値の違いが勝敗を決定づけてしまうところがあるため、ほとんどガチャ運、あるいは課金によってプレイヤー格差が生まれてしまう設計になってしまっているのも残念なところ。せっかくの、ユニットを操作できるという点が上手く活かせてないようにも思えるのだった。

それでも育成要素の豊富さや自由度の高さは魅力的。とりわけスキルのカスタマイズや自由自在の組み合わせなどはたいへん面白く、実に興味深いものがあった。