本作は人気ソーシャルゲーム「SKYLOCK」の制作スタッフが再集結して作られた新作スマートフォン向けRPGで、魔王との戦いという王道のファンタジーストーリーを楽しむことができる。
内容もターン制のコマンド選択式というこれまた王道のシステムで、戦闘が3DCGによる迫力満点な描写だったりと、大作RPGの風格もあるといっても決して過言ではない。
なんといっても、とにかくスタッフが豪華。声優陣も充実しており、クオリティの高いアニメーション映像もついている。キャラクターデザインも含めて、たいへんとっつきやすい作品になっているともいえるだろう。
ストーリー
魔王の復活と、それに立ち向かっていく少年という、きわめてオーソドックスなファンタジーストーリーが展開していくが、それは過去・現在・未来を超えて複雑に絡み合っていくという壮大なものとなり、プレイヤーの冒険心を掻き立ててくれる。
プレイヤーが操る主人公の少年「トット」は、落ちこぼれであるが勇者を志す真っ直ぐな性格のキャラクター。そこに加わっていくのは正体不明の美少女「ウーア」に、まさにマスコットキャラクターといえるちびキャラの「チビナス」など、これまた分かり易い王道の人物と設定が次々と敷き詰められていく。
昔のファンタジーRPG作品のような安心感という、郷愁感さえ覚えるような作品だ。
ゲームシステム
ボリュームのあるゲームなだけに、初めのデータロードが長め。
しかしその時には、かなり気合いの入った豪華なオープニングアニメーションを見ていられるので、苛立ちも起こらないはず。
ここから始まる冒険物語への期待に胸を膨らませよう。
コンテンツ数は少なく、基本的にはメインシナリオを進めていくゲームモードが中心となる。
マルチプレイも用意されてはいるが、あくまでおまけ的なものでしかない。
壮大な物語をガンガン進めつつ、召喚(ガチャ)で仲間となる「魔者」たちを集め、育成していこう。
バトルは、主人公たちの仲間である「魔者」たちを戦わせていくというもの。
ターン制のコマンド選択式というシステムだけでなく、速さの順での行動など、誰もがわかる作りだ。
スマートフォン向けゲームらしく、オート機能や倍速モードもしっかり付いているので、気楽に遊べるはずだ。
クエストの合間にはアドベンチャーパートが挿し込まれ、ほのぼのとしたキャラクターたちの会話劇や、熱くシリアスなドラマを楽しむことができる。
テキスト量やステージ数も膨大で、やり応え充分だ。
グラフィックや音楽
豪華スタッフが集結しているだけあって、さすがクオリティは高い。バトルでのCGや演出、よく動くアニメーションや壮麗な音楽など、大作と充分にいえるだけの重みがある。
しかしながら、どれもやたらと古くさいような印象も覚えてしまう。それは古典たるターン制のコマンド選択式というシステムからではなく、絵や動きの見せ方やゲームデザインそのものから受けるものだ。具体的に言ってしまえば、例えばバトルでのアングル変化はまんまドラクエ8そのままだし、オープニングのアニメーションは80年代アニメのコンテのようである。王道を意識した故の結果であるのだろうが、それにしてもあまりにも独自性や新鮮味がないと、これだけ多くのゲームがひしめき合う中では求心力に結びつかないのではないかと思う。
それでも最近のFFと同じ育成システムなどは、分かり易い上にしっかりとしたやり応えがある。ギアや覚醒といった育成要素も同様だ。人気作のいいとこどりは決して悪いことではない。遊ぶ易さはとにかく間口を広げてくれるのである。
梶裕貴に内田真礼といった今をときめく人気声優を起用している点なども大きな魅力の一つ。ライトユーザーを中心に、若いユーザーたちが手を出しやすい雰囲気を醸し出している。
総合評価
大作の風格を持った、たいへん遊び易いRPG作品。ゲーム内容はシンプルで、ゲームバランスも良く、一本道の王道ファンタジーストーリーをのんびり楽しみたいライトユーザーなどにはオススメできる作品といえるだろう。
やり込み派のヘビーユーザーにとっては、ガチャで全てが決まるような戦術性も戦略性も薄い内容と映るだけで、残念ながら魅力を感じるところは少ないか。それでも充実した育成システムや、新たなアイテムを作り出せる錬金システムなど、決して内容が薄いわけではない。ストーリー重視のユーザーであれば、かなり楽しめるRPGとなるはずである。
まずはぜひ、お試しいただきたい。