30年以上の長きに渡って、世界中で愛され続けているトランフォーマーシリーズ……本作は、その長い歴史をクロスオーバーさせた、スマートフォン向け3D格闘アクションゲームである。
バンブルビーにスタースクリームと、たくさんのキャラクターが存在する作品だが、そのキャラクター性はシリーズごとにみな異なっており、同名キャラクターを揃えるだけでも圧巻のボリュームがある。
多くのシリーズで主人公を務めてきたオプティマスプライムも、本作では「コンボイ」という古い名で登場し、主人公としてチームを率い、メインストーリーを進めていく役割を担っている。
ゲームを進めていけば、コンボイとオプティマスプライムが並び立つ、夢のクロスオーバーも実現。ファンにとってはたまらない作品となることだろう。
格闘アクションは、タッチパネルによる簡単操作だが、多彩かつ迫力あるアクションが可能。ダイナミックな演出の数々や、必殺技の表現など、必見のシーンが満載。対戦格闘ゲームとしても、かなり完成度の高い作品といえる。
ストーリー
物語は、地球を救ったコンボイたちサイバトロンチームが、地球の協力者たちと共に故郷サイバトロン星へと帰還するところから始まる。
道中、謎の事故によって、とある惑星に不時着した一行。
するとそこには、何者かに操られたトランスフォーマーたちが待ち構えていて、否応なしに戦いを挑まれてしまうのであった。
敵となるトランスフォーマーには、仇敵であるディセプティコン(デストロン)だけでなく、仲間であるはずのオートボット(サイバトロン)まで混ざっている。
一行は熾烈な戦いを繰り広げつつ、惑星を脱出するための資源を回収し、惑星の謎を解いていく。
ゲームシステム
ストーリーはアメコミ風タッチの絵や、アドベンチャーパートによって進行していく。
メインクエストは、すごろくのようなマップを進んでいき、マス目ごとに遭遇した敵とバトルしていく。
ゴール地点に到達するだけでなく、全てのマスを通過できれば、達成率100パーセントとなり、様々な特典を得ることもできる。
バトルは1VS1の対戦格闘ゲーム形式。
タップやスワイプ、長押しなどで、様々なアクションをとることができる。
攻撃を重ねてゲージを満タンにできれば、大迫力の必殺技を繰り出すことも可能。
ホーム画面ともなる拠点は、箱庭ゲームのように発展させていくことができる。レベルが上がっていけば、新施設の建造も可能だ。
また、アサルトバトルという対人戦モードもあり、他プレイヤーの拠点を攻撃することもできる。
しかしそれは、こちらも同様に攻撃されるということでもある。
なので、防衛のためにロボットやモジュールの設置をしっかりと行っておこう。
大迫力のバトルシーンは一見の価値あり。
操作できるキャラクター数も多く、ボリュームも満点。
キャラクターはガチャから入手できる。オートボット(サイバトロン)だけでなく、ディセプティコン(デストロン)のトランスフォーマーも仲間にでき、操作することができる。夢の編成も可能なのだ。
さらにレベルアップやランクアップなど、育成要素も充実している。お気に入りのキャラクターをどんどん強化していこう。
グラフィックや音楽
グラフィックは驚異的とまでいえる高クオリティで、その質感と重量感、戦闘シーンでの迫力は、必見ものといっていい価値がある。
様々なシリーズの多種多様なデザインを丁寧に拾い上げ、上手く統一感ある絵にまとめているのも実に素晴らしい。
変形機構を忠実に再現したモーションなどは、ファンからすれば感涙ものである。
ただ惜しむらくは、本作にはボイスが一切付けられていない。他が夢のような完成度なだけに、画竜点睛を欠いているように感じてしまう。本当に残念。
総合評価
キャラクターゲームとしても、対戦格闘ゲームとしても、たいへん完成度の高い作品。シリーズのファンからすれば、傑作ともいっていいデキだろう。
一方、シリーズを全く知らないユーザー、あるいはハリウッド映画版を1度くらい観ているといった程度のライトユーザーには、いささかハードルの高い作品に思えてしまうかもしれないが、しかしタップやスワイプによる感覚的な操作で鮮烈なアクションを繰り出せるゲーム内容は充分に楽しめるものだし、個性的なキャラクターたちはほとんどが小さな子どもでもわかる単純明快なテキストで台詞を喋ってくれるので、かなりとっつきやすいものになっている。シリーズ初心者であっても、問題なくすんなり作品世界に入っていける内容だ。入門編としてもちょうどいいタイトルといえるのかもしれない。
ファンにとっては、既にコンボイとオプティマスプライムの並び立ち、ビーストウォーズシリーズの参入など、既に大満足のボリュームであるが、今後もアップデートで、どんどんキャラクターが増えていきそう。対人戦となるアサルトバトルも活発化していきそうな気配があり、楽しみは増すばかりだ。