フリューより配信されている本作は、大人気漫画及びアニメシリーズである「弱虫ペダル」を題材としたスマートフォン向けパズルゲームで、プレイヤーは個性豊かな登場キャラクターたちを好きなように組み合わせたドリームチームを結成し、自転車レースの大会に挑むことができる。
レースを再現したような形であるパズルの内容は、隣り合った同じ色のピースをなぞって消していくといったお馴染みのもので、並走しているライバルチームの体力がなくなると区間クリアになるという設定だ。
一見はこてこてのキャラクターゲームであるが、リアルタイム制の緊張感や、チェーンコンボとゲージ溜めの戦術性など、パズルゲームとしてもなかなかの完成度を誇る侮れない作品。原作ファンだけでなく、パズルゲーム好きのユーザーも要チェックだ。
ストーリー
原作再現型であるはずの作品だが、なんと本作にはストーリーモードなどは一切なく、原作エピソードなどが語られることもない。
それどころか特に会話劇のようなものもないので、原作を既読、あるいはアニメ版を視聴していることが大前提となっている。
こういったゲームはそもそもファンしかプレイしないという想定の元に作られているのかのような、かなり思い切った作りである。
ゲームシステム
リアルタイム制のパズルゲームは、カウントが0になると相手チームからの攻撃をくらってしまうことになるので、素早い判断と操作には、今チームが走っている区間の地形に合わせたピースを消していくことが効果的な攻略となる。
平坦や下り坂には緑色のスプリンターピース、上り坂には赤色のクライマーピースなど、色や形で判断して繋げていこう。
スキルゲージが溜まれば、スキルや必殺技を発動させることもできる。
レース大会は日本全国を行脚する形で開かれる。
各地の2日目をクリアできれば、次の場所と、スプリント戦などのおまけステージが解放されていく。
組んだパーティを「遠征」に出すこともでき、時間経過で経験値やアイテムを稼ぐことが可能。
ルームモードは箱庭ゲームのような作りになっており、好きなキャラクターを置き、自由に改装していくことができる。
設置したアイテムによってユニットのステータスがアップしたりするだけでなく、トレーニングさせたり、食事をさせることで、強化育成していくことも可能だ。
また、他プレイヤーのルームを訪問することもできる。
ルームのアイテムやキャラクターなどは、直接購入するか、ガチャを回して獲得する。
キャラクターは、同じ者を獲得すると自動的に「限界突破」となり、ステータスが底上げされる。
グラフィックや音楽
パズルで表現したレース画面の作りなど全体的なゲームデザインは正直平凡といったところで、特に優れた箇所は見当たらない。
だが、ぷちサイズで描いたキャラクターたちは、みな実に可愛らしく、細かい表情や動きまで丁寧に再現されたクオリティの高いものになっている。
アニメ版の絵を基調とした立ち絵の数々も美しく、衣装の数が多いのも嬉しいところ。女性ファンなどは特に嬉しく感じられるところであろう。
しかしながら前述の通り、ストーリーが一切なく、さらにボイスもないというところが、キャラクターゲームとしては致命的な欠陥を抱えているように思えてしまう。
大部分が良くできているだけに、こうした点がなおのこと惜しい。
総合評価
ストーリーとボイスが用意されていないという明らかな欠陥、不満点がありつつも、それでも箱庭ゲーム的ルームモードは魅力的で、賛否両論はあれどキャラクターゲームとしての価値は充分にあるものとなっているように思える。
作品ファンのユーザーは、まずはお試しでいくらかプレイしてみてから、判断した方がいいだろう。
原作の再現などがないことで、読んだことも見たこともない完全に新規のユーザーが新たに入っていくのは厳しいところがあるが、パズルゲーム自体はたいへん完成度が高く、面白味のあるものとなっているので、キャラクターがわかるという程度でも、ちょっと試してみる価値はあるだろう。