本作は、今年2017年の7月に、シリーズ5作目が公開されたばかりの大ヒット映画シリーズ「パイレーツ・オブ・カリビアン」を題材とした、リアルタイムストラテジーゲームだ。
プレイヤーは海賊団の団長となり、団を発展させ、その勢力を拡大させていくことが目的となる。
クエストでは、ジャック・スパロウやウィル・ターナー、エリザベス・スワンやヘクター・バルボッサといった原作キャラクターとの関わりを描いたシナリオや、これまでの映画の内容を追体験できるシナリオを楽しむことができる。
メインとなるゲーム内容は、箱庭ゲーム的な領地の発展と、他プレイヤーたちとの競い合いである。時に争い、時に協力し、最強最大の海賊団を目指そう。
ストーリー
映画を知るユーザーにとっては、お馴染みのキャラクターたちが総登場するクエストは、歓喜できるものだろう。
ブラックパール号など原作で大活躍した船も実装されており、使用できるなど、ファンサービスがしっかりしている作品でもある。
一方、映画を観たことがないというユーザーでも、シリーズ1作目から追体験できるモードもあるので、充分に物語やキャラクターを知り、理解することができるはずだ。
条件をクリアすればどんどんシナリオが解放されていくので、積極的にミッションなどを達成していこう。
ゲームシステム
ゲームを開始すると、オープニングに大迫力のムービーシーンを見ることができる。
吹替のボイスも付いており、ファンならばきっとテンションが上がることだろう。
豊富なキャラクターの中から、好きなキャラクターを選択し、アバターとすることになる。
なかなかパンチの効いたキャラクターデザインは、まさしく原作通りといった雰囲気だ。
ゲーム内容は、自陣営の発展と拡大、そしてNPCや他プレイヤーとのバトルを繰り返していくという、もはやスマートフォン向けゲームではお馴染みといっていいシステム。
箱庭ゲーム的なパートでは、施設の建築やアップグレード、さらに船員の雇用や船の製作、戦術の開発や様々な技術の研究などができる。
発展のための資金と資源を獲得するには、農場などの施設が時間をかけて生産していくのを待つだけでなく、戦いで獲得することが必要となってくるだろう。
戦いとは、自陣営付近の海上を荒らすモンスターの討伐や、近隣にある他プレイヤーの島に攻撃を仕掛けて略奪することに他ならない。
それは船団を派遣する操作だけで完結する。実際のバトルはフルオートで、あとは結果を確認するだけだ。
この確認時に、大迫力のバトルシーンを見ることもできる。
グラフィックや音楽
グラフィックなどはかなりクオリティが高く、まるで実写取り込みのように活き活きと描かれた、きわめて再現度の高いキャラクターたちの姿を見ることができる。
ゲームオリジナルのキャラクターたちも、映画の世界観というか、あの泥臭い雰囲気をしっかりと理解して描き出されているので、何の違和感もなく受け入れることができるだろう。
テキストはいささか甘い部分も多いが、ボリュームが膨大で、満足感はある。映画体験者にも興味深いところはあるはず。
さらに吹替版と同じボイスも付いているので、声優好きのユーザーなども要チェックのゲームといえる。
ただ音楽が映画版と違うので、熱心なファンであるほどにガッカリしてしまうこともあるかも。
総合評価
キャラクターゲームにしてはかなりガッツリと作り込まれた良作で、その豊かなボリュームと、ゲームとしての面白さで、個人的にはついつい止め時を忘れてしまうほど盛り上がってしまった。
原作映画ファンやディズニーファンだけでなく、ストラテジーゲーム好きのユーザーにも強くオススメできる作品である。
しかしそのストラテジーゲームの部分も、スマートフォン向けゲームにはありがちな作りというか、もはやテンプレといってもいいほどの内容となっているので、やる前から飽きを感じているユーザーも多いかも。
また基本的には常に対人戦という設定なので、競争の忙しなさなどが苦手に感じるユーザーには向かないところがあるといえるだろう。
それでもグラフィックやバトルシーンの映像の作りなど、とにかくクオリティが高く、スマートフォンの小さな画面であっても、劇場でのスクリーンのような迫力を味わうことができるものになっているので、まずはぜひ序盤を体験してみて、自分に合うかどうかを判断していただきたい。それだけの価値はあるゲームだ。