本作は同名の大人気漫画作品を原作としたスマートフォン向けRPGで、フル3Dグラフィックとボイスによるバトルで大いに注目されている作品だ。
ターン制のオーソドックスなバトルシステムを採用しており、オート機能の充実など、誰でも気軽に楽しめるように作られている。
全体的にはファン向けに作られている作品ではあるが、ブレイクゲージの設定や、楽々キメられる爽快なコンボなど、スマートフォン向けカジュアルRPGとして丁寧に作られている印象を受けることはできた。
ストーリー
ストーリモードでは原作を追体験することができる。
原作漫画は、グールと呼ばれる「見た目は人間だが人間の肉しか食べられない種族」と、普通の人間たち、そしてグールを狩る国家機関の捜査官たちの、様々な人間模様と葛藤、激しい戦いと壮絶なドラマが連鎖するストーリーが描かれており、たいへん評価が高く、特に若い世代の読者を引きつけている。アニメ化もされ、大ヒットした。
そんな原作を、ストーリモードにおいて追体験することができる。これはファンにとっては嬉しい内容となるだろう。
ただ、主人公の金木研を主軸する物語が展開するわけだが、自由自在にパーティを編成できるため、敵味方が入り乱れたり、いるはずのないキャラクターがいたり、はたまた同じキャラクターが殴り合ったりなど、様々な矛盾が生まれてしまうのであった。
どうにも興醒めなので、上手いこと処理なり工夫なりがほしかった。
ゲームシステム
ゲーム開始前おなじみの注意書き……いや、いくら若い世代にヒットしている作品といっても、ひらがなしか読めない小さな子どもが原作を読んでいたり、本作をダウンロードしたりはしないような気がするのであるが……
そもそもこの作品では、グロテスクな表現に注意とか、そういった案内の方が必要なのでは?
……などというツッコミはひとまず置いておこう。
本作ではまず、このゲームだけのオリジナルキャラクターをメイキングするところから始まる。
このプレイヤーユニットとなるキャラクターは、性別や能力、攻撃タイプだけでなく、グール側か捜査官側かも選択することができる。
コンテンツは、原作をなぞるストーリモードやイベントステージ、さらに対人戦を楽しめる「強襲」などがある。
配信開始から間もないこともあって、まだまだ不足を感じられる内容だが、今後のアップデートに期待しよう。
バトルはターン制で、アイコンをタップして攻撃という、ごく簡単なもの。
後衛のキャラクターをスワイプするとポジションを入れ替えつつの攻撃ができる。
スキルゲージが溜まれば、アイコンをスワイプで固有スキル発動となる。強力な攻撃やエンチャントが可能だ。
グラフィックや音楽
バトルのグラフィックはデキが良く、動きも良く、演出やエフェクトなどもなかなか小気味好くて良い。
アニメ版の声優を使用したボイスもふんだんに盛り込まれており、ファンには実に嬉しい内容。
ただそうしてバトル画面では頑張っているのに、何故かストーリーを見せる画面は、アニメのキャプチャをただ張り付けただけの粗雑すぎるもの。なんと立ち絵の1枚すら用意していないのであるから驚きである。
クオリティにばらつきがあるのは本当に残念。
総合評価
RPGとしてもなかなかよく作っているとは思うが、やはりキャラクターゲームの域を出ず、作品ファン以外にはちょっと手を出し難いゲームになってしまっている。特にストーリモードの作りが粗雑すぎて、原作の魅力を消し、貶めているだけなので、ゲームから作品にはとても入っていけそうにない。
しかしながら原作を深く理解できているファンにとっては、程好く物語を追体験しつつ、自分の好みのキャラクターたちを自由に操作できる内容は適切といえるのか。
バトルは簡単操作でテンポも良いので、ゲームが苦手な人でも問題なく遊ぶことができる。ガチャの排出率も高く、強化育成も楽々。まさにファンのためのゲームといった作りだ。
原作漫画ファン、アニメ版のファン、あるいは原作既読のユーザーには、オススメできる作品である。