本作は、世界的大人気シリーズ「ファイナルファンタジー」の最新作である「ファイナルファンタジー15」のスマートフォン向けスピンオフ作品で、内容はなんとびっくり、RPGではなくリアルタイムストラテジーゲームだ。
他プレイヤーと資源を奪い合いつつ、施設を建造し、発展させ、自分だけの王国を作るといった、いわゆる箱庭ゲームであり、開発元の「Machine Zone」社製らしい、「モバイル・ストライク」や「ゲーム・オブ・ウォー」を彷彿とさせるものになっている。
ファイナルファンタジーという冠からRPGを期待したファンやユーザーはガッカリしてしまうかもしれないが、あくまでスピンオフ作品であるので、割り切ることができれば楽しめる作品である。
ストーリー
しかしせっかくファイナルファンタジーという作品名を看板として表に出しているのであれば、いくらかは作品とリンクさせてほしかったところ。
そう、この作品は、ファイナルファンタジー15の本編とは、まったく関係なく進行していくのである。
そもそもストーリーがない。キャラクターの個別シナリオなどもない。ただ単に、キャラクターCGのみが用いられているといった感じだ。
一応、15の主人公キャラクターの1人が、ナビゲート役として常に話しかけてくれるのであるが、ボイスがついていないどころか、そのテキストのクオリティがあまりにも低く、もはやキャラクター性が完全崩壊しているといった状態。
防衛ユニットにその他のキャラクターも登場し、使用することができるのであるが、特に会話もなく、エピソードを見ることもできない。
特に作品に思い入れのないユーザーなら問題なく遊べるが、作品ファンからすれば、かなり寂しいものになってしまっているのである。
ゲームシステム
国造りパートでは、施設の建設をアップグレードをひたすら行っていこう。
国力を高めれば、資産が増え、軍事力を上げることもできる。
戦う力を手に入れたら、国防の強化を行い、他プレイヤーが襲いかかってきても返り討ちにできるようにしておこう。
当然のことながら、こちらから他プレイヤーの国を侵略することもできる。
編成した軍を指定した国へと派遣すれば、あとはフルオートで進行してくれる。勝てば資源をガッポリ獲得だ。
他にも、フィールドではモンスターと戦うことも可能。そのためには、研究施設のアップグレードを忘れずに行っておこう。
本作にはたくさんのクエストが用意されており、達成すれば多額の資金や絵便利なアイテムなどを入手することができる。
ナビゲートしてくれるファイナルファンタジー15の主人公の1人「ノクティス」によれば、「推奨クエストをやっておけばなんとかなるって!」とのこと。
なんとかなれば、手に入れた装備品で強化したり、スキルツリー式の能力を解放していくことなどができる。
育成要素もあるゲームなのである。
グラフィックや音楽
グラフィックのクオリティは高く、良い。
しかしほとんどの構図、設計、パーツが、同社の作品「ゲーム・オブ・ウォー」の流用としか見えないものばかりなので、どうにも素直に称賛し難いものがある。
そして前述の通り、テキストが低クオリティすぎることもあるので、ファイナルファンタジーへの愛が強いユーザーほど、抵抗感や嫌悪感を抱いてしまうこともあるかも。
音楽があまりよろしくないのも残念。特に、別々の音楽や効果音が重なってしまうという凡ミスにはガッカリ。
せっかくの素材を少しも活かせていない作りで、とにかく残念。
総合評価
全体的なクオリティの低さ、というか、あまりにもファイナルファンタジーからかけ離れているために、ダメなゲームと判断してしまうユーザーが多く、公式のアカウントを中心に大炎上してしまっている。
たしかに何故ファイナルファンタジーの名を使いながら、このようなゲーム内容にしてしまったのかは疑問に思うところではあるが、しかし実は海外市場の開拓手段の一つであるのだとすれば、そう悪くはない手法ではないかと思えてくる。
この作り、ジャンルは、海外のユーザーには親しみのあるもの。ファイナルファンタジーは知っているがプレイしたことはない、というユーザーでも、すんなり入ってくることができるだろう。
実際、海外のユーザーはかなり多く、なかなかの賑わいを見せている。
そうした遠く海の向こうのユーザーとも、自動翻訳機能のついたチャットでコミュニケーションをとれるところなどは、素直に称賛してもいいのではないだろうか。
また日本人でも、気軽にストラテジーゲームを楽しみたいライトユーザーなどにオススメすることはできる。操作はきわめて簡単なので、誰でも気楽に楽しむことができるだろう。