本作は、子供向け絵本のような柔らかいタッチのグラフィックという見た目ではあるが、その中身はかなり骨太な横スクロール式アクションRPGであり、ガチャなしでステータスや装備をひたすら強化していくというハック&スラッシュ系ゲームでもある。
突進・防御・回復の3アクションという単純明快なバトルシステムでありながら、その一瞬の駆け引きや戦術性などはたいへん奥深く、実に中身の濃いバトルを楽しむことができるだろう。
海外インディーズゲームであり、日本語化もされていないが、遊んでみて決して損のない作品だ。
ストーリー
プレイヤーが操るのは王国に使える騎士。国から与えられる使命は「困難な配達」で、彼は背中のリュックに配達品を入れ、今日も野党や魔物が蠢くフィールドを駆け抜けていくのであった。
そんな郵便屋生活を続けていくと、やがて可愛いヒロインたちと出会い、好感度を上げていくこともできる。なんとヒロインごとに個別シナリオやイベントも用意されており、恋愛アドベンチャーゲームのようなEDを迎えることも可能。まさかのギャルゲー要素まで盛り込まれた、なかなか油断のできない作品である。
ゲームシステム
残念ながら日本語化は未実装。だが、オーソドックスなファンタジー世界が舞台設定であり、ごく簡単な文章ばかりなので、高校生以上であれば問題なく読めて理解することができるはずだ。
クエストの合間にはこうした会話劇が挟まれ、その内に様々なヒロインたちとの出会いも待っている。
ヒロインには届け物とは別にプレゼントを贈ったり、好感度が上がるにつれて逆に何かをもらったり、個別のシナリオが解放されたりする。
バトルはオートで右へと進行し続ける主人公が敵に倒されないよう、タイミングを計ってアクションボタンを押すだけ。
ただ、アクションにはクールタイムがあるため、タイミングを間違えてしまうと敵の攻撃を丸々受けてしまい、あっという間にゲームオーバーとなってしまう。逆に最高のタイミングでアクションを繰り出し続けることができれば、一方的に攻撃し続けることも可能だ。
上手いプレイヤーであれば、低レベルクリアもできるのがこのゲーム。メインクエストを攻略していくと、新しい街や人物、ヒロインたちが登場し、どんどん世界が広がっていく。
アクションが苦手なプレイヤーは、周回プレイで主人公の育成をしていこう。1ステージの時間はとても短いので、サクサク強化していくことができるだろう。
育成は、経験値稼ぎやアイテム集めだけでなく、鍛冶屋での装備品強化、さらに錬金工房でのポーション強化など、かなり本格的なRPGシステムが搭載されている。やり応えは充分だ。
グラフィックや音楽
2等身のキャラクターデザインは実に可愛らしく、ファンシーな背景やアイテムなど、全体的にのどかな雰囲気。
だが、その中身はガチなアクションRPGというゲーム内容……見た目と中身が合っていそうで合っていないという不可思議なアンバランス感を作り出しており、それがまた妙な味わい深さとなっているようにも思う。
またそうしたキャラクターたちの動きは軽妙で、にぎやかで、見ているだけで飽きない。
宿屋の孫娘から魔女っ娘に眼鏡っ子にと、豊富なヒロインたちにも注目。
総合評価
カジュアルな見た目と雰囲気、しかしその中身は硬派なアクションRPGという、なかなかに「意外性」のあるゲーム。それでいて、設定、システム、ゲームバランスなど、細部に至るまでたいへん丁寧に作り込まれており、かなり「良質」なゲームであるということもできる。
とりわけ超単純操作でありながらも操作感というか手応えが抜群で、豊かなアクションを楽しむことができるバトルは秀逸。
また、1クエスト1分というアクティブさが、実にスマートフォン向けゲーム的で素晴らしい。それによって周回クエストもテンポよく、ストレスなくレベル上げや装備強化ができるので、ハクスラらしい遊び方ができ、充実感を得ることができるといえるだろう。
ライトユーザーにもヘビーユーザーにもオススメできる良作だ。