本作は、ひたすら伸びていく線を、ステージの障害物であるブロックなどに当ててしまったり、穴に落ちたりしてしまわないよう、タップで上手く方向転換させていくといった、スピーディーなアクションゲームである。
そのタップには、反射神経ではなく、BGMのリズムに合わせてタップするというリズム感が求められているので、リズムゲームとカテゴライズしてもいいのかもしれない。
ステージは冬から春や、砂漠へ断崖絶壁へと、様々な空間が用意されており、それぞれステージギミックだけでなく、音楽も変化していく。
ピアノ、クラシック、ジャズ、さらにフュージョンからユーロビートまで、多彩な音楽空間を味わいつつ、まるで生き物のように変化していく不思議なステージの数々を堪能することができるだろう。
ストーリー
ストーリーは一切用意されていない。
何のために、いやそれ以前に、いったい何を操作しているのかすらよくわからないまま、ステージは始められ、音楽は奏でられる。
だが、無機質に見えて、どこか哀愁などの感情を描出しているようにも感じられるステージに、プレイヤーはどんどん引き込まれていくことだろう。
そしてそこに、各人のストーリーが自動的に生まれていくことも、あるのかもしれない。
公式のアプリ紹介
ゲームシステム
ステージ挑戦には、左上にちょこんと表示されている「キューブ」を消費する必要がある。いわゆるスタミナ制なのだ。
このキューブは時間経過で回復。
そうはいってもかなり多めに見えるが……と思うのも始める前だけ。
実際ゲームを始めてみると、すぐにこれが何度もゲームオーバーと再挑戦を繰り返す「死にゲー」であるということに気がつくであろう。
操作は画面をタップして、ウネウネ伸び続けるラインの進行方向を変えるだけ。
しかし生き物のように隆起と変化を繰り返すステージは、あまりにも険しく、簡単にクリアできない。
流れる音楽がリズムで配置と道筋を教えてくれるのだが、そのタイミングはとても厳しく、聴いてから押す、ではとても間に合わないのである。
穴に落ちたり、ギミックに引っ掛かるだけでなく、ちょっと壁に触れただけでもゲームオーバーとなる。
そしてステージの一番初めから再スタートだ。
繰り返しの挑戦で、少しずつステージ内容を憶えていくしかないだろう。
ステージ数はなかなか多く、バリエーションも豊富だ。
今後、新しいステージが追加されるという情報もある。
ステージは順番にクリアしなくても、自由に選択できるようになっているので、腕に自信のないプレイヤーでも、新ステージに挑むことはできる。まずはいったいどんな雰囲気のステージになるのか、ワクワクしながら待ちたい。
グラフィック
とにかく音楽が美しい。ゲームとは別に、いつまでも聴いていたいと思える曲ばかりだ。
シンプルでありながら、現代芸術の如く研ぎ澄まされた感のあるグラフィックもまた素晴らしい。1つの芸術作品としても評価することができるゲームである。
総合評価
どこまでも美しく切ない、不思議な空間を体感できるゲームである。そういった意味では、アクションゲームやリズムゲームというカテゴリーでは単純に括ることができない、何か新しいゲームジャンルに触れているかのような、神秘性すら覚える作品ともいえる。
ただ、このゲーム、かなり難易度が高い。操作はタップのみという、究極なまでにシンプルなのであるが、そのタップのタイミングがあまりもシビアで、ほんのちょっとしたズレが発生しただけで障害物に衝突し、そのワンタッチだけであっけなくゲームオーバーとなる。
よって、リズム感以上に、何回も死にながら、ステージの構成全てを暗記していくといった、ハイレベルなシューティングゲームをプレイしているかのような忍耐力と根気と執念を求められるのである。
それはヘビーユーザーを引きつける高いゲーム性であるといえなくもないが、しかし世界観を味わう前に、ゲームオーバーという現実を叩きつけられるような、そんな突き放した感覚のようにも受け止められてしまい、個人的にはかなりマイナスな要素なのではないかと思うのであった。
高い難度によってユーザーを限定してしまうには、あまりにも惜しいといえる、とても美しいゲームなので、今後にアップデートなどがあるならば、せめてコンティニューなどの救済措置が設定されてほしいと、切に願っている。