ドイツのゲーム会社Black Anvil Gamesによって製作されたWarlordsは、迫るオーク侵略軍に義勇兵を指揮して立ち向かうといった、ファンタジー戦術シミュレーションRPGである。
ヘックス(六角形)に区切られたマップで、ユニットをチェスの駒のようにターン制で動かし、兵種の相性や高低差を活かして攻撃するといった、オールドゲーマーにはなんとも馴染み深いというか、懐かしさも感じられる作りだ。
そうした重厚な内容のゲームを、タップ1つの簡単操作でお手軽にできるよう設計されているのはお見事としかいいようがない。無料のゲームとはとても思えないほどの完成度の高さである。
ストーリー
舞台となるのは中世ヨーロッパ的ファンタジー世界「ダンマー」
そこに住む人間たちは、オークという凶悪なモンスターの軍勢によって侵略されて、多くの地を支配されてしまっていた。
ある時、港町デューポートに襲来したオーク軍を、ギリーという名の元海賊の料理人が指揮する衛兵隊が、撃退に成功する。
それを切っ掛けに、荒くれ騎馬隊や辺境の弓兵部隊、そして女戦士ぺラジアの率いる王国槍兵隊などが合流し、人間たちは一大義勇兵団を結成し、反撃の狼煙を上げることになった。
プレイヤーはギリーたち義勇兵団を指揮し、オークたちに占領された地を解放していくのだ。
公式による紹介
戦略性が高く、適度な難易度。
モバイル専用のターン制ストラテジーゲーム。マス目状の戦場で敵と対峙し、戦略を競い合え。兵士を雇用して訓練し、軍隊を作り上げてあらゆる敵を打ち破れ。
様々な種類のユニットを集めたり雇用したりして、少数の義勇兵で構成された部隊を強固な攻撃部隊へと作り変えよう。各ユニットに最適な武器や防具を装備させ、戦局を一変させるアビリティを習得して戦力を拡大させよう。
激しい戦いを勝ち抜いてランキングに自軍の軍旗を掲げよう。君は真のウォーロードになる実力を持っているだろうか?
戦いに参加せよ!
君の一手が勝敗を分ける – 白熱のターン制バトルでオークの軍勢を撃退しよう。国を統一せよ – 一から軍隊を作り上げ、強力な同盟を結成しよう。装備を整えろ – 伝説的な武器を手に入れ、戦局を一変させる特殊能力を習得しよう。
祖国を守れ – ダンマー各地で繰り広げられる戦いを乗り越え、幻想的な世界を探検しよう。
敵を打ち破れ – 対人戦ランキングのトップに軍旗を高々と掲げよう。
『Warlords』は基本プレイ無料ですが、一部のゲーム内アイテムを有料で購入することもできます。アプリ内購入機能は、お使いのデバイスの設定で無効にできます。
ゲームのプレイとソーシャル機能を利用するにはインターネット接続が必要です。また、ゲーム内に広告が入る場合があります。
高度な戦略が求められる壮大な戦いが待ち受けている。この戦いに身を投じる覚悟はできているか?
ゲームシステム
メインメニューは世界地図のような形で表示されており、赤く染められているオーク占領地に進軍し、侵略軍を撃退して土地を奪い返していくというのが、本作の主な流れとなっている。
グレーの土地はまだ様子もわからない地域で、これには偵察を出して調査する必要がある。この偵察には現実の時間経過が必要になるので、早めに偵察に出し、待ち時間に他の地域での戦闘を進めるといったやり方が必要になるだろう。
戦闘はクラシカルなターン制シミュレーションで、地形効果やユニットの相性などをよく考えながら動かしていき、相手軍を全滅させれば勝利となる。
相手の陣形を崩すためにも、戦闘前の布陣や初手の動きなどの戦略性も必要となる。手応え十分のゲーム内容だ。
土地を解放していき、都市や遺跡といった特別な場所を解放すれば、ストーリーが進行し、新しいユニットが加わることもある。
また他にも、一定時間ごとに無料で引ける「デューポートの船」という、いわゆるガチャコンテンツによって、ユニットや「ユニットの欠片」を手に入れることができる。
この「ユニットの欠片」は10個集めるとユニットとなり、自軍の戦力となってくれる。さらに集めれば、そのユニットのレアリティを上げ、強力な新スキルを解放してくれたりもする。
本作は育成要素もかなり充実しており、ユニットのステータスを上げるアップグレード用のアイテム収集や、装備品の強化をするための金貨集めなども必要となり、ボリューム感は満点。
ゲームを進めるほどに、やれることがどんどん増えていくといった仕様だ。
グラフィックやBGM
グラフィックはなかなか良く、特に地図をイメージしたマップ画面などは世界観に深みを与える効果もあり、実に素晴らしい。さらに戦闘画面でのユニットの滑らかな動きは見応えあり、高く評価することができるだろう。
キャラクターデザインは武骨さとグロテスクさのある、いかにも洋ゲーといった雰囲気のもので、日本人のプレイヤーには合わないといった感想を抱く人は多いかも。なにせ主人公ギリーは白髭マッチョのおっさんであり、数少ない女性キャラクターも、どう見ても男にしか見えない、マッチョの細目女である。萌えだの可愛いだのはこのゲームには一切存在しないのだ! この硬派さこそ戦術シミュレーションゲームよ、といった骨太なプレイヤーには最高にマッチする作品といえる。
総合評価
まずは戦術シミュレーションゲーム作品としての完成度が凄まじく、これでどうして無料なのかと疑問に思ってしまうほどの面白さがある。
さらにスマートフォンゲームらしく育成要素やキャラクター収集といったところもかなり作り込まれており、やり込み度も高い。
またチャレンジ性の高いマップの追加や、対人戦、さらにはトロフィー収集など、コンテンツ数も多く、ボリューム感も満点だ。
そして何よりも高く評価できるのは、ゲーム展開のテンポの良さである。本作は、本格シミレーションゲームのそれとは思えないほどのスピード感とお手軽感と爽快感があり、深いゲーム性を保ちつつも、ちょっとした空き時間にも楽しめるといったように、入念に設計されているのである。ある意味でこれは、古き良きゲームを現代において再び輝かせることに成功した素晴らしい例であるともいえるだろう。
これはかつてシミュレーションRPGに胸を躍らせたオールド・ゲーマーたち、そしてそれを知らない新しい世代のプレイヤーたち全てに、ぜひとも楽しんでいただきたい作品である。