株式会社バンダイナムコエンターテインメントより配信されている『聖闘士星矢 ゾディアック ブレイブ』は、大人気コミック「聖闘士星矢」の30周年記念として制作されたスマートフォン向けアプリケーションゲームで、原作コミック版だけでなく、数々のアニメシリーズや映画作品、さらには現行の最新作などを網羅した一大キャラクターゲームとなっている。
ジャンルはRPGで、好きな聖闘士を自由に編成しパーティーを作り、まさに『聖闘士星矢』といえる独特のエフェクトによって描かれた白熱のバトルを楽しむことができる。
バトルは基本オートという簡単仕様で、育成要素も充実。誰でも気軽に遊ぶことができる。
原作の忠実な再現だけでなく、主題歌やボイスなども充実しており、とにかくファンサービスが徹底されているといった印象。まさにシリーズファン向けのキャラクターゲームといえるだろう。
ストーリー
物語は原作完全再現といった内容で、OPこそ本作が最大に盛り上がった「十二宮編」から始まるが、イベントバトルの後は時が遡り、懐かしの原作第1話が開始される。
チュートリアルとしてカシアス戦、シャイナ戦を勝ち抜くと、いよいよゲームの本格スタート。まずは主人公キャラクターたちが一堂に会す「銀河戦争編」に突入だ。
……ただ本作は、原作を真面目になぞっているわりには、5人パーティというスマートフォン向けRPGのシステムを採用してしまっているため、会話上は1vs1の熱い展開を繰り広げているのに、バトルが始まると5人で1人の敵をボコるといった、ちょっと納得のいかない状況が生まれてしまうので注意。
そうしたシナリオパートとバトルパートの乖離によって、お話自体もよくわからなくなるといった、原作ファン以外は全くついていくことができない内容になってしまっているのは実に惜しい。また原作ファンだからこそ醒めてしまう作りであるともいえるかも。
ゲームシステム
ホーム画面は実にオーソドックスな作り。見易く分かり易い。ただ「ガシャ」の項目を一番に押し出しているデザインには苦笑してしまうが。見てお分かりかと思うが、表示されたキャラクターもとにかくガシャを推してくる。
課金しないのであれば、ガシャに必要な石もクエストを進めなければ手に入らない。まずはメインコンテンツとなるストーリーモードをどんどんクリアしていこう。
ストーリーは原作をそのままなぞる展開で、バトルの前後や合間に会話が起きる。
そうした会話と関係なく雑魚が湧いて出たり、多人数バトルになったりと、どうにも違和感があるが、そこはスルーして進めていこう。
画面では紫龍vs紫龍になっているのだが、パーティーに編成してしまっているからこれも仕方ないことなのである。
バトルはオートで進む。プレイヤーはアイコンをタップして必殺技を繰り出すことだけを求められる。超簡単操作なので、誰でも気軽に遊ぶことができるだろう。
ただ戦闘スピードがやたら速く、気が付いたら勝っているということも多い。
総合評価
グラフィック・BGM
エフェクトやフォント、細かい演出の端々にも気を使われているのがよくわかる作り込みは、素直に称賛できる。とりわけベタ塗りや集中線の使い方など、あまりに再現度が高くてファンならば感涙ものであることだろう。
ただその割には肝心のグラフィックが今一つ……聖衣こそ、そこそこ頑張って描かれているが、キャラクターの顔などは雑で、クオリティは低いといわざるをえない。
対して音楽や効果音は最高。ボイスも搭載されており、必殺技を絶叫してくれるので、テンションが上がる。
口コミ・評判
原作ファンからは軒並み高評価を得ている。やはり原作同様の音楽をそのまま使用している点が大きいだろう。
しかし、全体を見ると評価点は「3.0」とかなり低い。強引に課金仕様のシステムにしてしまった点も大きいだろうが、本アプリは何かにつけてエラーや不具合が多く、かなりひんしゅくを買っている。 聖闘士星矢ファンとしては、冠を付けたゲームである以上、今後のアップデートで是非名誉を挽回して欲しいところだ。 正直言って、2016年のスマートフォン向けゲームとしてはあまりにもお粗末なデキとしかいえないほど、たいへんクオリティは低い。 まずゲーム内容がほぼオートで進み、スキルを繰り出すくらいしかやることがないという点が大きなマイナス要因となっている。また普通はオートゲームの場合、編成などの事前準備や、スキル発動のタイミングや組み合わせなどといった戦略性戦術性が面白さとなるのであるが、この作品には一切そうしたところはなく、単純に強いキャラクターが強い必殺技を繰り出せば勝てる、といった、なんとも薄い内容なのだ。 これはRPGとして成立していない作品であるともいえてしまうだろう。 しかしながらこれまでに書いた通り、キャラクターゲームとしての完成度はなかなかに高いため、ファンにとっては充分に楽しめるゲームであるということはいえる。いやそのわりにはガチャの苦々しいまでの渋さとか、シナリオとバトルの噛み合わせのなさとか、動画の読み込みの悪さとか、肝心の部分が粗雑ではあるが……それでもシリーズファンならば一度は試し、己の小宇宙〈コスモ〉を燃やしてほしい。 技でふっ飛ばした相手が頭から地面に叩き落ちる通称「車田落ち」の再現は必見。プレイして損はない。
感想と評価