本作は映画『ジュラシックワールド』を題材にしたスマートフォン向けシミュレーションゲームで、映画にあったような恐竜のテーマパークを作り運営し、多種多様な恐竜たちを再生して育成し、戦わせることなどができる。
広大なテーマパークだけでなく膨大な数の恐竜たちも全て美麗な3DCGで描かれ、重厚でありながらダイナミックに動く。
スマートフォンの小さな画面でも、きっと圧倒されるような迫力を味わうことができるだろう。
ストーリー
いかにも洋ゲーといった感じで、細かい説明があまりなく、とにかくプレイヤーは、いきなり恐竜テーマパークの1つを任され、運営していくことになるのであった。
細かいことを知りたければとにかく映画を観なよ、というクールなスタンスはかえって清々しく感じられるほど。
実は説明どころかストーリーパートすら一切ないわけだが、ナビゲートしてくれたりミッションを与えてくれたりするキャラクターたちは、どうやら映画本編に登場するキャラクターらしい。ただこれらのキャラクターたちやストーリーを知らなくても、このゲームを遊んでいくのに少しも必要ではないようには作られている。
プレイヤーはとにかくパークの運営と発展、恐竜の育成とバトルを繰り返していくのだ。
ゲームシステム
本作は主にパークの建設→運営して収入を回収→恐竜を作る→育成→バトルといった流れを繰り返していく内容となっている。
パークは恐竜関係の施設からレストランまで多種多様に建設可能で、多額の資金さえ溜まればどんどん周囲の土地を開拓して拡大していくこともできる。
恐竜を飼育展示する檻は、新しい恐竜が誕生する度に増えていく。
施設や檻をタップすることで資金を獲得することができるが、その他にも業務という、いわゆるミッションをクリアすると、多額の報酬を得ることができる。
潤沢な資金さえあれば、新しい施設の建設や、新しい恐竜の孵化、さらには恐竜を進化させることもできるだろう。
資金の他にも、獲得した経験値によりプレイヤーレベルがアップすれば、新たな施設やバトルステージなどが、どんどんアンロックされていく。
恐竜バトルは3対3のチーム戦で、ターン制のコマンド選択式となっている。
攻撃などの行動には「行動ポイント」を消費。つまりポイントを使いきるまではいくらでも行動を選択することができるのである。ここであえて「待機」を選択するとポイントが増加するので、次のターンで余分に動くことができるなどの利点が生まれる。
よってバトルでは、常に相手の行動を読み、数手先の手を打てるかどうかによって勝敗が分かれるのだ。
グラフィックやBGMなど
ハリウッドの大作映画の看板を背負っているだけあって、クオリティはたいへん高い作品である。
まずは超美麗なCGグラフィック。映画そのままと感じられるほどの質感というか「肉感」は驚異的なまでの高品質で、目を奪われる。
さらに素晴らしいのは効果音である。生気溢れる恐竜たちの鳴き声はたいへん説得力があり、恐竜など現実では見たことがないというのに、何故だか「リアル感」すら感じられるのだった。
そして荘厳で壮大な音楽も、その「錯覚」を助長する。手の中の小さな画面でありながら、音楽が立体感を与えてくれる効果となり、まるで今にも恐竜が飛び出してきそうなほどの圧力すら覚えるだろう。
総合評価
原作映画のファンがまず触れるだろう作品ではあるが、しかし本作はファンというよりは、ひたすら箱庭と恐竜を作っていくといった作業の繰り返しに楽しみを覚えるような、やり込み系シミュレーションゲーム好きにこそオススメできる。
ストーリーもないストイックな作りなので、映画を観ているか観ていないか、好きか嫌いかなどは、少しも関係がない。CGのクオリティの高さからいって、どちらかといえば恐竜好きといった方に向いている作品ともいえる。
またバトルの難易度も高めで、かなり手応えがあり、骨太なゲームを望む人にも最適。
一方、原作ファンであっても、この難易度の高さや、洋ゲーらしいストイックさが合わない人というには、オススメできないだろう。
そして作業の繰り返しに楽しさを覚えない人にも向かない。
以上のように、とにかくクオリティの高い作品であるが、かなり人を選ぶ。人によっては最高のゲームとなり、人によっては少しも楽しめないゲームになるかも。まずは合うかどうかをお試しいただきたい。