本作は、タイトルにもある「リンケージ（連鎖）」をテーマにした王道のファンタジーＲＰＧで、プレイヤーは主人公の少年「アレックス」を操り、謎の少女ミリアとの出会いをきっかけに冒険の旅に出て、様々な仲間たちと出会い、やがて隠された世界の歴史に近づいていく、といった「繋がりの物語」を体感していくことができる。

シンプルな物語と操作による、実に典型的といえる一本道ＲＰＧなので、物語重視のユーザーや、古典的ＲＰＧが好きというユーザーには間違いなくオススメできる作品だ。

ストーリー

舞台となるのは、剣と魔法のきわめてオーソドックスなファンタジー世界。

突如として出現し、大地をえぐり取り、人々もろとも虚空へと釣り上げてしまった謎の巨大な鎖によって、３００年の平和が破られてしまった大陸最大の国家「ガーニア王国」……地上にて日々鍛錬を繰り返していた少年剣士アレックスは、ある日その浮遊した王国から落ちてきた謎の少女ミリアを助ける。

記憶を失った彼女は、何者かに追われていて、アレックスは正義感と負けん気から彼女を助け、共に逃亡と記憶探しの旅をすることになる。

幼馴染のリザや、その他多くの仲間たちと共に、冒険の旅は続いていく。

ゲームシステム

メインのクエストだけでなく、探索や討伐など、コンテンツはそこそこ揃っている。

特に、ツリー形式の育成やアイテム作成などのボリュームが膨大。

また、イベントシナリオなども随時更新されている。

とにかくクエスト数が多く、メインのストーリーだけでも充分なボリュームなのに、さらにキャラクター個別のクエストなども充実しており、やり応えは充分にある。

プレイヤーレベルが上がれば、経験値稼ぎ用のクエストなども解放されていく。

バトルはセミオート形式。プレイヤーはタイミングを見計らってアイコンをタップし、スキルや召喚などを発動させていこう。

武器によって異なる必殺技「リンケージスキル」などがあり、事前準備が重要となる戦略性のある内容となっている。

ストーリーは、アドベンチャーパートが挿入されて進行していく。

ここに未登場のキャラクターもガチャで獲得可能。好きなキャラクターで最大６人のパーティを結成し、バトルに挑んでいこう。

グラフィックや音楽

ＰＳ２クラスの良質なグラフィックやド派手な演出など、サクサクと進行するわりには爽快感があるバトルは高評価できるもの。

またとにかくテンポが良く、さらに内田真礼や井上麻里奈といった情感たっぷりの芝居が得意な声優によるキャラクターボイスも魅力的なので、プレイヤーができることはスキルか召喚を発動するくらいだというのに、軽妙な面白さのような、ちょっと不思議な手応えを味わうことができる。

ただそうした戦闘を彩る素晴らしいボイスが、ストーリーパートに収録されていないのが残念でならない。１ギガの容量を要求したわりにはフルボイスでないとは、いささか納得ならないところである。

そしてキャラクターデザインやキャラクター設定が平凡というのもマイナス点。そこにちゃんと個性や強い味わいがないと、わざわざ頑張ってガチャを回したいとはとても思えず、ゲームへの興味もどんどん薄れていってしまう。追加キャラクターなどに期待したいところだ。

総合評価

セミオート形式の超簡単操作バトルや、変化球のない直球といえるストーリーなど、良くいえば安心して楽しめる王道作品であるが、悪くいえばありきたりすぎる作品……この捉え方の違いで、このゲームの評価は大きく変わる。少なくとも、強い個性や独自性を求めるユーザー、またクラシカルな作りのＲＰＧは飽きたと感じているユーザーには、まったく向いていない作品といえるだろう。

クオリティは高いので、ゆったりまったりと自分のペースで物語を進めていくのが楽しいと感じるユーザーや、王道ＲＰＧこそを求めているユーザーにはオススメできる。

また、スマートフォン向けゲームらしく、バトルには倍速やオートも用意されているので、ちょっとした時間の隙間に休憩がてらでプレイしていくことも可能だ。

ただ、たしかに戦術性は薄いバトルではあるが、属性の相性で勝敗が分かれるなど、戦略性はなかなか高いものとなっているので、武器作成などのやらなければならないことも多く、やり応えはある。決して眺めているだけのゲームではない。