本作はシンプルな平面パズルゲーム。2つの支点に挟まれたスティックが動く中、タイミングを合わせてタップして支点を切り替え、移動させていき、フィールド上に散らばったシルエットに重ね合わせていく。
様々な障害物、そしてカウントアップのジレンマを乗り越えて、素早くクリアしていくことが求められる。操作や目的こそシンプルだが、そのゲーム内容は、きわめて複雑性のある、難易度の高い、歯応えのあるものとなっている。
ストーリー
シンプルパズルゲームということもあって、特にストーリーは用意されていない。それどころかキャラクターさえ一切出てこない。あるのは黒いスティックと、支点となる記号の数々、そしてステージを彩る鮮やかな色彩の数々である。
目的も理由も全てが謎。プレイヤーはただひたすらパズルを解き続けていく。どこまでもストイックなゲームだ。
公式の説明
オリジナリティをプラスしてハラハラすること間違いないユニークなゲームです!Dotzyは未来的な2次元迷路ゲームで時計がカウントダウンするにつれ様々な棒状のオブジェクトを見つける必要があります。
壁、天井、様々なものの周りを回って他の棒状のオブジェくトを素早く破壊してください。スクリーンをタップしてスティックを回転させるにはタップします。落ち着いてリズムに乗り収集することがこのゲームのキーとなります。
物理エンジンとグラフィックスエンジンはDotzyを魅力的なものにし、それにはタイミングと正確さが必要になります。ゲームが進むにつれてレベルが上がっていきます。高レベルでプレイするには、できる限りレベルアップをすることが必要です。
ゲームシステム
鉄アレイのような図が3つ。この内の白いのが自機となる。
自機は左右の丸の部分のどちらかを支点として、常に回転運動を行っている。
タップすれば支点が右から左、左から右へと変わるので、支点を切り替えることで移動させていくといった流れとなるのだ。
そうして自機を、同じ形の黒、つまりシルエットにちょうどぴったり重ね合わせることができれば、クリアとなる。
途中の星は回収しておくとコレクションの購入などに使えるので、積極的に拾っておこう。
ステージは多種多様。奇抜な作りのフィールドがプレイヤーを待ち構えている。
自機のチェンジなど収集要素も一応用意されている。パワーアップなどはないので、あくまでおまけ要素でしかないが。
デイリー報酬にルーレット。パズル以外のコンテンツはこんなところか。
広告を見れば星をどんどん稼げるので、コレクションやステージ解放などは比較的に楽に行えるだろう。
BGM・グラフィック
簡素な画面でありながらも、豊富かつ鮮やかな色彩や、現代芸術的なデザインの数々は魅力的なものがあり、ある種の美を感じ取ることはできるだろう。ユニークな障害物の数々も面白く、新しいステージ画面を見た瞬間は思わず「おっ」と声が出る。
ただそうしたステージとそのフィールドを、いささか厳しめの制限時間によって、あまり悠長に楽しむことができないというのは残念。制限時間のないモードもあったらよかったのではないかと感じた。
またシンプルかつストイックなゲーム内容はいいとしても、せめて何かしらの収集要素なり、育成や拡張の要素なりがあった方が、より飽きが来にくくなり、良かったようにも思う。
他にも、難易度の高いパズルに対して、達成感はともかく、爽快感は薄いように感じられた。スティックが障害物に当たってしまった時、あるいは阻まれてしまった時などに、何か効果なり演出なりがもっとあっていいのではないだろうか。
総合評価
きわめてシンプル、だからこそ奥深い。そんなゲームの根本を味わうにはもってこいの作品といえるだろう。
タップのみという単純な操作しかない作品だが、独特のルールや感覚があり、慣れるまではちょっと時間がかかる。対応力や柔軟性の高いプレイヤーほど、早く内容を把握できるだけでなく、本作の面白さの本質に気がつけるだろう。
ただ相性が悪いと、初めのステージで投げ出してしまうことも。それくらい独特のプレイ感がある。
そうしたゲーム内容は、制限時間内にパズルを読み解く思考能力と判断能力、そしてタイミングよくタップできるリズム感がまず必要となるが、それ以上にとにかく難易度が高く、繰り返しのプレイが必要となるので、最もプレイヤーに求められているのことは、忍耐力と挫けない心なのかもしれない。
特に制限時間がシビアなせいで、パズルとして解けていても、操作でミスするとそれでクリアできなかったりと、ステージが進むほどに焦りと苛立ちが襲いかかってくるのである。
シンプルゲームであるが、プレイヤーとして相応しいのは。アクションパズルゲームなどに慣れたヘビーユーザーかも。