株式会社バンダイナムコエンターテインメントより配信されている本作は、タイトル通り「デジモンシリーズ」を題材としたスマートフォン向け育成RPGだ。
一時代を形成したともいえるこの大人気シリーズは、今もなお続編が作られ、派生した新作も作られ続けているのだが、本作では育成と戦闘でデジタルワールドの危機を救うという、まさに原点回帰ともいえる内容となっている。
プレイステーションのゲーム、テレビアニメシリーズ、そして映画などで熱狂した世代に向けて作られたような、どこかノスタルジックさも感じられる作品である。
ストーリー
プレイヤー(主人公)はデジタルワールドを訪れたゲームプレイヤー。ナビゲーターのヒナに案内され、これからデジモンとの愉快で楽しい時間が始まるはずであった。
しかしそこで、謎の事故が発生し、世界を構成しているデータが断片化。デジタルワールドは崩壊の危機に晒されてしまうことになる。
この窮地を救えるのは、偶然来訪していたプレイヤーだけ。さあ、憧れの世界を救うため、いざ立ち上がるのだ!
公式のアプリ紹介
デジモンリンクスは、現実世界と異世界であるデジタルワールドを”繋ぐ”アプリケーションである。
これまでの「デジタルモンスター」シリーズに登場したおなじみのデジモンたちが多数登場。
デジモンたちとの“キズナ”を武器に、デジタルワールドで突如発生した“異変”に立ち向かえ!
【ゲーム紹介】
■デジモンたちと共に3VS3のコマンドバトルに挑戦
デジモンたちそれぞれがもつ「リーダースキル」「固有技、継承技」「属性と耐性」でバトルを有利に運び、勝利へと導くのだ。
■デジモンたちが生活する空間「ファーム」
デジモンを育成する施設や、バトルに有利な効果をもたらす施設などさまざまな建物を建設可能。カスタマイズしてアナタだけの”デジモン空間”を作ろう。
ゲームシステム
ナビゲーターのヒナに導かれ、ストーリーは進行していく。
まずはチュートリアルとなるので、指示に従って操作していこう。
今のところ、テレビアニメシリーズや映画で出てくる人間のキャラクターたちは登場しないようだ。
ファームではデジモンの孵化や育成の他にも、田畑で経験値付与のアイテムを作成することなどができる。
プレイヤーのレベルが上がっていけば、研究施設や進化施設など、多くの施設が解放されていく。
様々なクエストに挑み、ストーリーを進行させ、新しい素材を入手していこう。ステージ数はそれほど多くないが、ミッションなどに挑むことで多くの報酬を獲得することができる。
期間限定クエストや曜日クエストなど、スマートフォン向けRPGによくあるクエストは一通り揃えられているようだ。
バトルはシンプルかつオーソドックスなターン制のコマンド選択方式。
通常攻撃の他、AP値を消費すれば強力なスキル攻撃を放つことができる。
デジモンやそのスキルには属性があり、有利不利の相性もあるので、それをよく見極めて行動させていくのが要となるだろう。
オートモードも実装されており、楽々戦闘が行えるが、このオートだとひたすら無駄にスキル攻撃をするだけなので、あまり使用しない方が賢明かも。
BGMやグラフィック
グラフィックはなかなかのもので、クオリティは充分に高い。背景やモーションにいささか物足りないところもあるが、かつてアニメで見ていたデジモンたちが新しく美しい3DCGで描かれているのを見ているだけで、なんともありがたいような気持ちになれる。シリーズファンであれば、特に不満は感じられないだろう。
しかしながらボイスが実装されていなかったり、会話テキストなどがほとんどなかったりと、かなりガックリくる部分も多く見られる。
デジモンの育成を行うファームのデザインも、あまり作りが整っておらず、遊び難い。施設や田畑のCGもあまり美しくない。だがファームを散歩するデジモンたちの可愛さなどは一見の価値がある。
総合評価
あまりシリーズの説明や世界観の説明などもなく、完全にファンサービスで作られた作品といったところか。せっかく新世代に向けられた新作アニメーションも放映されているのだから、もう少し配慮なりをして、新規層を開拓してほしかったように思う。
またシリーズのファンにとっても、ノスタルジックに浸れるはほとんど序盤のわずかくらいで、いくらかプレイすれば、ひたすら周回するしかない仕様にうんざりし、素材や研究成果を確認すらできないというとにかく遊び難い穴だらけのシステムに唖然としてしまうだろう。
さらにゲームバランスも悪く、ガチャを回して強力なデジモンを入手しないと明らかにクリアできないクエストや、あまりに強すぎた設定のデジモンを急激に下方修正したりする恐ろしい運営の調整具合に、もはや怒りを通り越して色々と大丈夫なのかとハラハラしてしまうほどだ。
しかしそれでも、多くの少年少女たちを魅了したデジタルモンスターたちに罪はない。デジモンたちはよく動き、とことん可愛く、勇ましく、色褪せることない輝きに満ちている。
シリーズの本質でもある進化の分岐が多岐にわたっているところなど、素晴らしい部分も、もちろん存在する。育成に何十時間も必要とするという気長さに対応できるのであれば、まったりと遊んでいくことはできるだろう。
今後のアップデートでコンテンツが増加していく可能性もある。まだまだ目が離せない作品だ。