『パズル&ドラゴンズ』などでお馴染みのガンホーより配信されているクロノマギアは、20枚制のカードデッキと、能力者という使用キャラクター、そしてマギアスキルという多種多様な特殊能力を巧みに組み合わせて戦う、スマートフォン向け本格トレーディングカードゲームである。
メインは対人戦で、基本のルールも相手のライフを先にゼロまで削り切った方が勝ちというごくシンプルなものだが、組み合わせる大きな要素が3種もあることで、デッキ構築に無限に近い自由度の高さがあり、たいへん奥深いゲーム性となっている。
実際に遊んでみると、かなり独特なゲーム感を味わえるような内容であり、またゲームの本質を理解するにはかなりの思考力とセンスを要するものになっているので、正直カードゲーム初心者や、ライト層のユーザーにはちょっと向かない作品といえてしまう。
やり込み派や本格カードゲーム好きのユーザーにこそ、最適なゲームといえるだろう。
ストーリー
カードゲームには珍しく、きちんとストーリーモードがあり、ステージをクリアしていけば、アドベンチャーパートで読んでいくことができるようになっている。
ゲームの舞台となるのは、狭間の世界とも呼ばれる「クロノカルディア」という名のファンタジー世界。
プレイヤーの操る能力者たちが召喚され、時の番人という存在をめぐる戦いに巻き込まれていくという展開が描かれている。
今のところは、初期から使用できる4人の能力者のシナリオが用意されている。
クリアしていけばゴールドという課金アイテムを報酬として獲得できるので、まずは対人戦用のデッキ強化のためにも、どんどんこのストーリーモードを進行させていく方がいいだろう。
ゲームシステム
新たなカードを入手し、デッキを編集し、バトルに挑むという行動を繰り返していく、真っ正直な構成のカードゲームである。
デッキは能力者ごとにセットすることができ、多種多様な戦略を構築していくことが可能だ。
また能力者はゲームを進めていくと新たに追加されていくので、プレイするほどに更なる可能性を求めていくことができるのである。
現実のトレーディングカードゲームのような本格さ。
とにかく自由度が高いので、フリーモードでの実践を繰り返し、思いついた組み合わせをどんどん試していく方がいいだろう。
バトルはターン制で、毎ターンごとに蓄積する「MP」を消費することでカードを使用し、クリーチャーを召喚することができる。
さらにクリーチャーについているマークを揃えたりと、条件を満たすことで、マギアスキルを発動し、戦況を大きく変えることも可能。
レベルアップや反撃など、複雑かつ独自性の強いルールも多々あるので、ストーリーモードなどで実際にやりながら憶えていくことをオススメする。
ストーリーモードの前後にはアドベンチャーパートもあり、会話劇によるストーリーを楽しむことができる。
能力者は皆個性的なので、魅力的なキャラクター性を感じることができるだろう。
グラフィックや音楽
製作プロデューサーに「パズル&ドラゴンズ」の山本大介がいるということもあって、トランプに見立てられた多種多様なカードのデザインは、パズル&ドラゴンズのイラストレーター陣によるもの。どれもクオリティが高く、美麗。
また、能力者のボイスに佐倉綾音や柿原徹也といった、人気実力共にある声優がキャスティングされており、熱いカードバトルに鮮やかな彩りを与えてくれている。
演出面がやや平凡に思えるかもしれないが、それは本格的なカードゲームの雰囲気を壊さないための作りであるともいえるだろう。
総合評価
「ガチ」で「ハード」な本格カードバトルを楽しみたいという、本物志向のカードゲームファンや、やり応えや歯応えを求めるヘビーユーザーを中心にオススメできるゲームである。
反面、簡素すぎるチュートリアルや明らかに不足しているガイド機能など、繰り返しになるが、やはり初心者やライトユーザーにはかなり厳しい内容となっている。
また、かなり時間をかけてやり込むか、多くの課金でもしなければ、なかなかカードパックを開けられない仕様になっているのも厳しいところ。
しかしそれでも、工夫次第で「勝てるデッキ」を自分で構築できたりもするので、このハードな部分を楽しめるプレイヤーにとっては、かえって程よい味付けというか、難易度になっているのだといえるのかも。
さらに、どんどん追加されていくカードによって、また新たな可能性のあるデッキを発見していくという楽しみがまだまだ広がっているので、腕に覚えのあるユーザーは、ぜひとも本作に挑戦してみてほしい。