スクウェア・エニックスによる「ブレイブリーシリーズ」は、3DSから何作も作られ続けてきた人気シリーズ。本作もその名を冠している通り、シリーズにナンバリングされる正統な続編タイトルで、旧作「ブレイブリーセカンド エンドレイヤー」から8000年後の世界を描いた作品となっている。
内容は王道ファンタジーRPGで、スマートフォン向けゲームとして片手でも楽々と遊ぶことができるように設計されている。
複数のジョブを気軽に変更できたり、アビリティをツリー形式で好きなように会得していける「アスタリスク盤システム」があるなど、スクウェア・エニックスお得意の育成システムが採用されており、たいへん分かり易い作りとなっている。
ストーリー
旧作から8000年後の荒廃した世界と、その未来を変えるために冒険する過去の世界が主な舞台となる。
過去と未来と現在が入り乱れるシナリオは、最近のスクエニ作品ではお馴染みのもの。
世界に大きな影響をもたらすクリスタルの力をめぐり、光と闇、様々な登場人物たちの思惑が交差し、ぶつかり合うという、王道でありながらシリアスで中身の濃い物語が展開していく。
ゲームシステム
ゲームを開始すると、まずはキャラクターメイキング。
名前や男女の決定は変更できないが、見た目はゲーム中のジョブチェンジによってその都度変化していくので、カスタマイズがまた楽しみの1つとなるだろう。
オープニングは迫力のムービーシーンが挿入される。
普段のストーリー展開はCGの動きとテキストで。
キャラクター数やテキスト量は膨大で、ボリューム感が満点。
クエストを受注したら、いざフィールドへ。
表示された敵にぶつかるとバトルに突入という、スクエニRPGおなじみのシンボルエンカウント方式が採用されている。
バトルはセミオート式で、タップして目標を設定すれば、あとは自動で攻撃してくれる。
また3つの列はスワイプで移動することができ、敵の攻撃を回避することが可能。
そしてBP(ブレイブポイント)が蓄積したら、強力な必殺技を繰り出すこともできる。
グラフィックや音楽
グラフィックや演出など、良いデキではあるが、3DSの頃そのままといった印象で、最新のクオリティといったものや、目新しさなどを感じることができない。
だがそれでも、音楽などはさすが「良いものは良い」といえるところがあり、スクウェア・エニックス製という伝統の厚みを感じることはできる。バトル画面の見易さや遊び易さなども、とにかく安心感がある。
またキャラクターデザインのいくつかを、ゲストアーティストの有名漫画家たちが手掛けている点なども大いに注目することができる。真島ヒロ氏や種村有菜氏など、なんとも期待感の高まるビッグネームばかりだ。
さらにそんなキャラクターたちには、井上麻里奈や名塚佳織、木村良平に江口拓也と、いずれも実力派声優がキャスティングされており、アニメファンや声優ファンも大いに注目することができるものとなっている。
総合評価
何から何まで王道の作りで、我が家に帰ってきたような安心感さえ感じられるRPGといえるだろう。
スマートフォンという環境により、いつでもどこでも気軽に壮大な冒険の旅に繰り出せるという、オールドゲーマーにとっては夢のような時代がやってきたのである。
ただノスタルジーや王道の安心感を必要としない若いユーザーにとっては、いささか凡庸な、古臭い作品と感じることもあるかもしれない。
実際、育成やバトルシステムなど、同世代の同ジャンル作品と比べてしまうと、どうしても見劣りしてしまう部分があるし、そもそもこれまでのシリーズ作品や、同社のRPGのシステムから少しも変化していないのは、人によっては怠慢と感じてしまうのかも。例えば「アスタリスク盤」などは、まんまファイナルファンタジーシリーズの「スフィア盤」だったりするわけで。
しかし、おそらくであるが、MMOの様式をとりながらもギルドバトルやランキングなどのシステムをあえて搭載せずにいるところからして、本作のメインターゲットは、ライト層と、自分のプレイだけで完結できるゲームを求めるオールドゲーマーに絞られているのではないだろうか。そういったユーザーにとっては、王道と安定感と安心感こそが最大の魅力と映るだろう。
他プレイヤーと競い合わず、ただ一人でどこまでものんびりと、自分のペースで自分だけの冒険を楽しみたいプレイヤーには、このゲームは最高の友となることだろう。