カードアクションバトルの仮面ライダーバトルラッシュは株式会社バンダイナムコエンターテインメントより、2016年7月25日から配信されたばかりの最新作。
本作はタイトルの通り大人気特撮シリーズ『仮面ライダー』を題材とした作品で、SD調にデフォルメされたライダーたちや怪人たちが、ラインディフェンス形式でにぎやかにバトルするといった内容になっている。
簡単操作で子どもたちやライトユーザーが楽しめるだけなく、今年『仮面ライダー』45周年ということで世代を超えたコラボやイベント企画などもふんだんに盛り込まれている。
シリーズのファンや、かつて『仮面ライダー』にハマった世代のプレイヤーもきっと興味を引かれる作品といえるだろう。
ストーリー
本作は世代や世界を超えた多種多様なライダーたちを自在にカードから召喚して戦わせるといった内容になっており、『仮面ライダー』のシリーズファンからすればすっかりお馴染みともいえる便利ライダー「仮面ライダーディケイド」のシステムを使ったようなものといえる。
メインストーリーに至ってはディケイドそのまんまで、様々な「ライダーの世界」を訪れて、共闘し、ライダーの力を手に入れていく、といった流れだ。
各作品のキャラクターとの触れ合いや懐かしい敵とのバトルなど、とにかく45年の歴史が詰まったにぎやかな作品である。
ゲームシステム
使用できるキャラクターは昭和ライダーから平成ライダー、さらには各ライダーのチェンジフォームまできっちり押さえた隙のない布陣で、プレイヤーは世代や世界を超えて好きなようにパーティーを編成することができる。
ライダーはスマートフォン向けゲームお馴染みのガチャで入手することができる。カットインや必殺技のエフェクトなど、かなり忠実に描かれているので、ファンならばライダー集めに熱中してしまうことだろう。
ステージは各ライダーの世界を探訪するといった「ディケイド方式」で、テレビや映画での名シーンを体感できたり、懐かしの怪人たちと戦うこともできる。
ストーリーはアドベンチャーパートで進行していく。ミナという名のヒロインと共に様々なライダーの世界を駆け巡ろう。
憧れのライダーと、思わずニヤリとしてしまう掛け合いをすることもできるだろう。
戦いは多人数バトルとなる。プレイヤーはコストを消費して編成してあるライダーをフィールドに召喚。あとの攻撃はオートで進行する。戦況や敵との属性相性などを見極めつつ、ライダーを逐次投入していくことになる。
ライダー召喚以外には、コストを消費しての回復や、必殺技の使用がプレイヤーの仕事。さらに編成していた全ライダーを召喚した折には、全員一丸となった攻撃ができる「バトルラッシュシステム」を発動することも可能だ。
グラフィックやBGM
グラフィックのクオリティはかなり高く、ライダーたちも怪人たちもかなり細かく丁寧に描き込まれているので、ファン納得のデキとなっている。
SD調とはいえ3Dグラフィックで描き出されたキャラクターたちがアグレッシブに動き回る様子はなかなか見応えがある。
ただ敵味方が遠く離れた場所でぺちぺちと攻撃を繰り出し合うだけのバトル画面はいささか迫力がなく、味気ない。必殺技のエフェクトなどはかなりの高クオリティなだけに、もうちょっと臨場感のあるバトル画面を演出していただきたかった。
作品そのままの効果音などはたいへんテンションが上がるが、一方でボイスが一切ないなど、キャラクターものとして物足りないところも多く、惜しい作品とばかり感じてしまった。
総合評価
上記のようにキャラクターものとして不十分な箇所が多く、本作に興味を持った作品ファンやキャラクターファンがどこまでついてこれているのか疑問だ。
ゲームとしても、簡単操作すぎて物足りないと感じる人も多いかもしれない。ぬるゲーだからこそ、夏休みに映画館へ足を運んでくれるような小さな小さなお友達たちでも遊ぶことができるのだろうが、それにしても歯応えがないというか、面白さを感じられない。戦略性はともかく、せめてもう少しアクション性くらいはあってもよかったのではないだろうか。
ただそれでも、現在放送中のライダーを前面に押し出したシナリオと、レジェンドたる旧作を取り上げたシナリオの配分が絶妙だったり、さらには各世代のファンどころかマニアも喜ぶイベントの配信などがあったりと、アグレッシブな面は評価できるところだと思う。
まだまだ配信開始して間もない作品故に、バトルシステムの面だけで駄作と評価してしまうのは浅はかだろう。対人戦などのコンテンツが充実していけば大化けする可能性はある。