本作は、プレイステーションを代表するといっても過言ではない大人気RPGシリーズ「アークザラッド」の、20年ぶりに作られた完全新作で、配信前から大いに注目されていた作品である。
ゲーム内容はシミュレーションRPGで、これまでのシリーズ作品にあった戦略性も戦術性も高いやり応えのあるバトルや、やり込み要素の多さ、そして壮大なストーリーが、しっかりと作り込まれており、基本プレイ無料のスマートフォン向けゲームとは思えないほどの完成度となっている。
20年以上新作を待ち続けたファンも納得のデキといえるだろう。
ストーリー
ゲームの舞台となるのは「アークザラッド2」のエンディングから10年後の世界。勇者アークと聖女ククルの犠牲によって魔王は封印されたが、大崩壊という自然災害は防ぐことができず、世界は崩壊し、大半の陸地が海に沈んでしまったのであった。
生き残った人々は手を取り合って復興し、大小の島々を結び合わせて共同体を形成。
その共同体の1つである「ミルマーナ」の自警団に所属する主人公「ハルト」は、ある時、襲撃してきた飛行軍艦と渡り合った際、囚われていた謎の少女「ミズハ」を助け出す。
ミズハの情報では、復興した国家「アルディア」が、侵略戦争を起こそうとしているとのこと。
ハルトはその情報の真偽、そして暗躍している謎の勢力などを探るため、ミルマーナの特使として、世界を股にかけた大冒険の旅へと出ることになるのであった。
ゲームシステム
コンテンツ数は多めで、クエストでストーリーを進めていくだけでなく、闘技場で対人戦を楽しんだり、地下遺跡に挑戦してアイテムを集めたり、ギルドで他プレイヤーと共闘したりと、様々な遊び方が用意されている。
ログインボーナスやミッションなど、プレイするほどに報酬を獲得できるなど、プレイヤーを飽きさせない作りとなっているところも大いに高く評価したいところだ。
クエストはステージ制で、膨大な数が用意されている。
メインストーリーを進めていくだけでも、やり応えは充分にある。
シミュレーションバトルは、キャラクター5人のパーティを組み、ターン毎にマス目状のフィールドを移動させて、敵を攻撃していく、というオーソドックスなタイプ。
ただ、攻撃する方向でダメージ量が変化したり、アクティブスキルだけでなくオートスキルも設定されていたりと、戦術性も戦略性もきわめて高い作りになっているのは、注目すべきところだ。
ステージの前後には、ムービーシーンやアドベンチャーパートが用意されており、ストーリーを大いに盛り上げてくれる。
キャラクターは主にガチャで獲得できる。
それぞれアタッカーやヒーラーなどのロールが設定されているので、まずは万遍なくロールを揃えることが肝心だ。
育成要素も豊富で、さらに装備なども多種多様に用意されており、やり込み要素も満点といえるものになっている。
デザインや音楽
ぱっと見こそ、グラフィックはPS2程度のレベルで、今時ではとても美麗と評価することはできない。
ただそれだけに、レトロゲーム的な雰囲気というか、シリーズの懐かしい味わい深さが演出されたような形として成立しており、オールドゲーマーの心を擽ってくれる。
そして、実際にプレイしていくと、バトルのエフェクトや会話シーンの演出など、細部に至るまで工夫し尽された丁寧な作りに気がつき、ゲーム世界に引き込まれていくことになる。
あとはとにかく、音楽が良い。その美しさ、熱さ、耳心地の好さが、あらゆるシーンを印象深いものに変えてくれているように感じられるのだ。
「光と音のRPG」というキャッチコピーが、まさしく当てはまる完成度の高さである。
総合評価
シリーズの良いところを踏襲するだけでなく、さらにスマートフォン向けゲーム向けの工夫を凝らしたバトルのシステム。
豊富なコンテンツなど、たいへん高い完成度となっており、良質の新作シミュレーションRPGであると明言できるだろう。多くのユーザーに遊んでほしいと思える良作だ。
また、プレイしていけば歴代シリーズ作品に登場したキャラクターも使えるようになったりと、シリーズのファンも納得の作りとサービスを提供している。
あの頃、熱中したプレイヤーこそ、ぜひともダウンロードしてみてほしい。