本作は、幾度もアニメ化されるなど多くのファンを抱える大人気シリーズ「マブラブ・オルタネイティブ」シリーズの新作アプリゲームで、本作オリジナルキャラクターと、これまでの作品に登場したキャラクターたちが邂逅し、共闘する、オールスター作品となっている。
ゲームのジャンルはシミュレーションRPGで、プレイヤーはキャラクターと、戦術機と呼ばれる巨大人型ロボットを組み合わせてパーティを編成し、地球の平和を脅かす「BETA」と呼ばれる異形の地球外生命体に立ち向かっていくことになる。
パラレルワールドという設定を使った、完全にシリーズファン向けの作品であるが、本作オリジナルキャラクターの視点から物語が語られていくので、本作から入門という形でも問題ないはず。
戦略性に重きを置いたゲーム内容なので、シミュレーション作品が好きなユーザーでもオススメできるだろう。
ストーリー
平和な2016年の世界で穏やかに過ごしていた主人公(プレイヤー)と、幼馴染の少女・白河美乃莉であったが、ある時どういうわけか、全てが廃墟と化してしまった世界に飛ばされてしまう。
本来、2人の通う学校があったはずの場所には、巨大な軍事施設「国連太平洋方面第11軍横浜基地」があり、2人はそこで、ここが2001年であり、地球が宇宙からやってきた怪物「BETA」によって滅亡寸前の状態であることを知る。
「BETA」と戦うことのできる人型兵器「戦術機」に乗れる素養を見出された2人は、訓練兵として基地に所属することになり、生きるために戦いながら、元の世界に戻るための方法を探していくことになるのであった。
ゲームシステム
コンテンツ数は少ないが、イベントステージやマルチプレイなど、なかなかボリュームのある内容となっている。
また育成要素が豊富で、キャラクターや機体だけでなく、基地の施設を強化していくことなどもできるようになっている。
ステージに合わせてパーティを編成し、S評価の豪華クリアボーナスを狙っていこう。
新規プレイヤーがスタートダッシュできるよう、RANK10まではスタミナ消費が必要ないという設定は嬉しいところ。
バトルは、操作機体1体を、タップで移動させていくだけといった、ごくシンプルなもの。
攻撃はオートで、残りのメンバーは動かした機体に合わせてフルオートで対応してくれるようになっている。
属性やスタイルなど、戦闘前の準備こそが最も重要といえる、戦略性の高いゲーム内容だ。
キャラクターは強化や進化といった育成ができるだけでなく、個別シナリオを解放していけるようにもなっている。
シリーズのファンやキャラクター好きには、まったくたまらないものである。
グラフィックや音楽
まことに残念ながら、全体的にかなりクオリティは低いといわざるをえない惨状である。
ボイスなしやCGの拙さはまだしも、音割れや処理落ちなどゲームとして致命的な欠陥が其処此処にあり、快適にゲームを進めることができない。
ノベルゲームとシミュレーションRPGを融合させたコンセプトやステージ作りはたいへん良いのであるが、バトルのCGだけでなく、メニュー画面までザラザラ感のある画質なのは、さすがに擁護しきれない。シリーズのファンであるほど、がっかりしてしまうことだろう。
それでもやはり、シナリオは良く、テキストの質は高い。さすがはこれまで「トータル・イクリプス」や「シュヴァルツェスマーケン」のシナリオを書いてきたタシロハヤト氏による仕事である。雰囲気や世界観は、ファン納得のものであるといえるだろう。
総合評価
とにかくクオリティの低さが惜しい作品。シナリオが良く、歴代作品のキャラクター総登場という、シリーズのファンにとっては最高の設定なだけに、もう少しくらいどうにかならなかったものかと思ってしまう。
ガチャの排出率も悪く、しかも機体とキャラクターが同じガチャによるものとなっているため、好きなキャラクターを手に入れたいファンに不満足を与えるだけのものになってしまっている。
個別シナリオもたいへん良い内容であるのだが、それを見るためには多額の課金をしてガチャを回し続けなくてはならないというハードルの高さ……熱心なファンであるほど、反感を覚えてしまうかもしれない。
同じくらい否定的に語られることの多い、高すぎる難易度については、歯応えを求めるようなヘビーユーザーにはちょうどいいといえるのかも。戦略性の高い作りにもなっているので、クリアの達成感は確かに得ることができるだろう。
なので、作品ファン以上に、シミュレーションRPG好きのユーザーにこそ響くゲームといえるのかもしれない。