一風変わったタイトルの本作は、付けた名前で能力値やジョブが変化するキャラクターを作り、世界の平和を取り戻すために魔物の軍勢と戦っていくといった、ファンタジーRPGである。
基本的には、バトルがターン制のコマンド選択式だったり、探索と討伐を繰り返す構成だったりと、まさしく王道RPGといった作りではあるが、やはりこの「名付け」が全てを決めるというシステムは、大胆かつ意外性のある面白味として機能しており、ワクワク感のある冒険を楽しむことができる。
ドット絵で描き出されたレトロゲームちっくな世界を、気軽に気楽に冒険していこう。
ストーリー
舞台となるのは、よくよくRPGの素材となる、剣と魔法の中世ヨーロッパ調ファンタジー世界。
ドット絵の効果もあって、なんだかのどかな雰囲気に見えるが、実は魔物によって人類のほとんどが死滅しているという、なかなかにハードコアな状況である。
プレイヤーは作り出したキャラクターを操作し、人類を脅かす魔物を討伐し、人々を救っていく。
旅の中で「最強の名前」を持つキャラクターを見つけ出し、魔物たちを操る謎の邪悪なる敵を撃破しよう。
ゲームシステム
名前が全てを決めるゲームなのだと、作品の根幹をザックリかつスッパリと説明してくれるオープニングが潔い。
本作ではガチャなどは存在せず、冒険の中で「命の玉」を獲得すると、新しいキャラクターを作ることが可能となる。
どんなキャラクターになるかは入力してみないとわからないが、実は特定のデータも存在しており、例えば「織田信長」という名前のキャラクターを作ると、必ず「侍」になるように設定されていたりする。
よくある「勇者」や「魔法使い」の他にも、「姫」や「猫」などといったユニークなジョブが多数用意されている。
まずはチュートリアル。実に気の抜けたデザインのキャラクターがナビゲートしてくれる。
最初の戦闘やキャラクター生成を経て、ゲーム内容を理解していこう。
マップ探索からのバトル、という流れを繰り返していくのが作品の構成となっている。
なお、この作品には回復のアイテムなどはあるが、装備はない。
とにかく新しく強いキャラクターを作り出すか、キャラクター同士を合体合成させて強化していくしかない。
キャラクター3体によるパーティでバトルに挑もう。
ターン制のコマンド選択式だが、オート機能や倍速設定もきちんと用意されている。
行動が素早さ順というのもシンプルで良い。
バトルに勝利すれば経験値を獲得でき、キャラクターのレベルが上がっていくというのも、古典的で親しみが持てる。
グラフィックや音楽
ドット絵のグラフィックは、オールドゲーマーには懐かしく、若いユーザーには新鮮に映ることもあるだろう。また全体的なチープさがあるからこそ、この気楽さがあるのだとも思える。
キャラクターや魔物のグラフィックがバリエーション豊富で、またフロントビューで描かれたバトルシーンは奥の背景が丁寧に描かれていたりと、決してクオリティが低い作品とはいえない。
ただ、操作性が悪いことや、シンプルなゲーム性の割にはインターフェースに難があるといった、ちょっとマイナスな部分も多い。
サウンド面も弱く、バトルの迫力が薄いのも残念。
総合評価
決して完成度の高い作品とはいえないが、しかし「名付け」で全てが決まるといったシステムは実に面白く、やり応えがある。
昔ながらのRPG好きにしてみれば、これはあの懐かしの『ルドラの秘宝』の「言霊システム」とまるで同じなのであるのだが、あれは魔法を作り出すのであって、こちらはキャラクターを作り出すというものであり、似て非なるまったくの別物。それぞれ異なる面白さがある。
キャラクターメイキングや、自分の中で世界観を広げ深めていくことが好きなRPG好きは、ぜひとも遊んでほしいゲームだ。
また、とにかくシンプルかつ分かり易い操作方法とゲームシステムなので、気軽に冒険を楽しんでみたいというライトユーザーにもオススメすることができるだろう。