スクウェア・エニックスより配信されている本作は、DOLLというアイドルたちの活躍を描いたリズムゲーム……と思いきや、命を捨てて人類の敵「ピグマリオン」と戦う戦闘少女たちの活躍を描いた、リズムアクションRPGとなっている。
アイドルを、世を忍ぶ仮の姿として戦う少女たちといえば、サクラ大戦などの作品がすぐに思い浮かぶが、本作は序盤こそそういった明るい雰囲気でありながらも、徐々に深い世界観や隠された設定が明るみになり、個々のキャラクターがより掘り下げられ、ダークでシリアスなストーリー展開を見せていくことになる。
よくある美少女ゲームと、スクウェア・エニックス製らしい重みのある本格RPGの空気が組み合わさったような、実に不思議な魅力のある作品だ。
ストーリー
舞台となっているのは2017年の東京。
しかしこの現実とは異なり、そこは数年前から異形「ピグマリオン」が跋扈し、人々を襲い喰らっているという、パラレルワールドである。
人類の脅威である「ピグマリオン」に対抗できるのは、DOLLという特殊能力を持つ少女たちだけ。
DOLLとは感情と記憶を失う代償として、どんなバケモノにも立ち向かえる戦闘人形に生まれ変わった少女たちのこと。
彼女らは情報操作のため、表向きはアイドルをやっているが、その裏の顔は国家所属の戦闘員であり、血みどろの日々を過ごしていた。
そんな中、ただ1人「DOLLたちの記憶から絶対に消えない存在」である主人公(プレイヤー)が現れる。
特異存在として、国家に雇われ、DOLLたちのマスターとなる主人公……はたしてその出会いは、繰り返される日々は、彼女たちにどんな影響を与えていくのであろうか……。
ゲームシステム
配信開始から間もないためか、まだまだコンテンツは発展途上といった感じ。基本的にはクエストをクリアし、メインストーリーを進めていくことになる。
ただそれでもステージ数もシナリオ数も多く、ボリュームは満点。イベントステージも随時更新されている。やり応え充分だ。
バトルはリズムアクション形式で、タイミングやカーソルを合わせたりと、武器や連携などによって様々に異なるアクションに対応することになる。
敵の攻撃もタイミングを合わせてガードできるなど、攻守ともに飽きずに、どこまでも緊張感のあるプレイが楽しめる。
もちろんスマートフォン向けゲームらしく、オートや倍速にも対応している。リズムアクションが苦手なプレイヤーでも、何の心配もなく楽しめるはずだ。
クエストを進行すると、3DCGで活き活きと描き出されたキャラクターたちによる会話劇や、美麗なグラフィックで描かれたアドベンチャーパートが挿入される。
しかもフルボイスという超豪華さ。贅沢すぎる内容だ。
他にも女の子の部屋を訪問して、随時コミュニケーションをとることもできる。
プレゼントをあげて好感度を上げたり、着せ替えで見た目をカスタマイズできたりする。
また「フィール」というバトルで獲得した記憶と感情の欠片を与えれば、様々な効果が発生し、サブストーリーが解放されることもある。
グラフィックや音楽
圧巻ともいえる3DCGによるグラフィックや、豪快かつ華麗なエフェクトや演出の数々がふんだんに盛り込まれており、キービジュアルからは想像もできないほどの高クオリティな本格RPGぶりに目が点になってしまうほど。
とにかくスクウェア・エニックス製らしい、完成度の高いバトルシステムが秀逸。コンボやブレイクの爽快感はさすがのひと言である。
さらに、キャラクター衣裳やアクセサリが自由に着せ替えてカスタマイズできるなど、美少女ゲーム、キャラクターゲームとしても、きわめて優秀な作品であるといえるだろう。
そうしたキャラクターたちを彩るのは、内田真礼、竹達彩奈、佐倉綾音といった、今をときめく大人気若手女性声優たちによるフルボイス。この豪華さだけでも、この作品をプレイする価値があると断言できる。
総合評価
タイトルやキービジュアルから、どうしても「よくあるアイドル作品」であると思い込んでしまうところがあり、かなり多くのユーザーがスルーしてしまっているのではないかと思う。
しかし実際にプレイしてみれば、なんとびっくりの本格RPGぶりで、かなり意表を突かれ、強く印象に残る。このインパクトは絶大なものであるといっていい。
もう少し内容をはっきりと見せた方がいいのではないかと思う一方、この隠されたインパクトがあるからいいのではないかとも思ってしまう。なんとも微妙なところだ。
とにもかくにも、ゲーム自体の完成度は高く、面白く、興味深い。だからまずはぜひ、お試しでプレイしてみてほしいと、強くオススメしたい作品である。