台湾の会社「Mobimon Inc.」によって製作・配信されている『レルムクロニクル』は、剣と魔法の王道ファンタジー世界を舞台とした3DシミュレーションRPGである。
プレイヤーは騎士団長となって、個性豊かなキャラクターたちを率いて、様々な問題や事件に立ち向かっていく。
各キャラクターの連携や、高低差による有利不利などを考慮しながら進めていく戦略性など、作りはきわめてオーソドックスなもの。誰でも気軽に遊ぶことができるだろう。
ゲームシステム
ストーリー
剣と魔法、精霊に竜人、学校に帝国と、王道のファンタジー要素が全て詰め込まれているといった印象。
主人公(プレイヤー)は男女から選択することができるが、どちらを選んでも際立ったキャラクター性は薄く、あくまでプレイヤー自身のアバターとして捉えることができるだろう。
そんな主人公は個性豊かな仲間たちを率いる数少ない常識人であり、苦労人である。
行く先々で巻き起こる大騒動や厄介事を解決していくというのがメインのシナリオであり、そのテキスト量はかなり多い。またキャラクター1人1人にもきちんと設定や個別シナリオ、サイドクエストが用意されており、ボリュームが凄まじい。
ゲーム概要
『レルムクロニクル』のようなゲームではお馴染みのキャラクターメイクであるが、なかなか種類が豊富。自分好みのキャラクター像は作れるはずだ。少々、顔と身体のバランスが悪いようにも見えるが。
キャラクターにはそれぞれ固有のストーリーやクエストが用意されており、アドベンチャーパートも山のように存在する。
専門用語が乱発するライトノベル感漂うテキストなので、苦手な人にはちょっと辛いかも。
ただメインシナリオだけでも膨大なステージやクエスト、そしてテキスト量があるので、ボリューム感は満点である。ライトノベル好きやキャラクターゲーム好きには良いゲームとなるだろう。
バトルはオーソドックスな作りで、ターン制で各ユニットを動かし、攻撃したりスキルを使用したりするといった、いわゆるタクティクス系である。
画面は自由に回転したり視点を変えたりすることができ、高低差などなるべく有利に立ち回れるよう計算して動かすことができるだろう。
しかしながらステージのマップは驚くほど狭く、遊び易くはあるが戦略性戦術性は薄い。連携効果などをあれこれ考えるよりも、とっととキャラクターを育成して、圧倒的パワーで殴った方が早い。
スキルのダメージ値や効果もあまり魅力的に思えるものが少なく、物理で殴るのが一番という、筋肉信仰のような結論に至ってしまった。
膨大なステージ数に対してコンテンツ数が少なく、シナリオ攻略以外にやれることはあまりない。ただキャラクターの育成やカスタマイズの自由度などがおそろしく高く、本当に好きなように作り上げることができるのは魅力的。
キャラクターを入手できる課金ガチャも比較的回し易いので、パーティはすぐににぎやかになり、様々な特性を持った編成を自由に組み上げることができるだろう。
総合評価
グラフィックは一見すると良いように思えるのだが、よくよく見てみたり、実際プレイしてみたりすると、どうにも違和感というか、妙なアンバランスさが目立つ、なんともいえないクオリティであることに気がついてしまう。
キャラクター数が膨大なわりには、きちんとキャラクターデザインが統一されており、そこは高く評価できるのであるが、しかし明らかに首と身体の繋がりがおかしかったり、変に崩れているようなキャラクターも多く、とにかく粗が目立つ。
音楽なども全体的に安っぽく、同人ゲームといった雰囲気がある。
クオリティはお世辞にも高いとはいえない作品。前述の通り、絵も音楽も全体的にチープで、粗削りな印象。特にテキストは量が多いわりにはなんともいえない台詞ばかりで、翻訳のミスなのか誤字脱字も多い。
また戦略シミュレーションゲームとしても、敵の行動に不可解さがあったり、ダメージ値に不備が見えたり、マップが極端に狭すぎたり、スピード感というかテンポが恐ろしく悪いなど、欠点が目立つ。
しかしながら、それでもキャラクターの多さやその豊かさ、1ステージのお手軽さ、育成要素の多様さと豊富さなど、良い点も多い。無料の同人ゲームと捉えれば、決して悪くない作品である。
お試しでプレイしてみても損はないはずだ。
口コミでみる評判
全体評価は3.3点とあまり高くはない。やはりプレイした誰しもが感じる「荒」が問題なのだろう。
口コミ内容は千差万別、万人受けするタイプのゲームではないという感じか。多くのプレイヤーが書いているように、フィールドが狭く限定された世界でのプレイとなるのが一番の問題かもしれない。
最近では広大なオープンワールドでプレイするゲームも多く配信されているため、どうしても物足りなさを感じてしまう。その限定世界を補う何かがあればもっと楽しめるだろう。