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アドベンチャー, ゲーム

プレイレビュー

投稿日:2018年01月03日

投稿者:サチオ

本作は、魔女に支配された孤島という幻想的な世界を描いたアドベンチャーゲームで、プレイヤーは2Dのドット絵で表現された繊細かつ味わい深い空間を自由に歩き回り、謎を解いていく。

謎解きミステリというよりも、呪いに支配された島と人々というダークファンタジー感が強い作品で、誰もが強大な力を持つ魔女に立ち向かうことを諦め、望みも強い意志もなく、ただ穏やかに生きて死んでいこうとしているという退廃的な雰囲気の中を、主人公ただ1人だけが抗い続けるという構図は、文学性の高いものであるともいえる。

テキストが秀逸なので、読書好きやダークファンタジー好きのユーザーを中心にオススメできるだろう。

ストーリー

舞台となるのは、大陸から少し離れたところに浮かび小さな島で、そこは魔女によって支配された土地であった。

この島では失踪や死亡も日常茶飯事……全てが魔女の思うがままである。その力の強大さと絶対さ故に、人々はもはや抵抗することもなく、ただ見て見ぬふりをしている。

そんな中のある夜、主人公は突然やってきた魔女によって「死の呪い」をかけられてしまう。なんでも大切な壺を盗まれたらしく、それを朝の4時までに探してこなければ「苦しみながら死ぬ」というのだ。

制限時間は6時間。その理不尽すぎる命令を受け、主人公は夜の島を探索していくことになる。

ゲームシステム

突然ふりかかった死の恐怖におびえることになる主人公。

死を回避するには、6時間で「盗まれた壺」を見つけ出すしかない。

ちなみに魔女の話を聞いているこの間にも時間は経過しており、13分も消費されてしまう。

殴る、のコマンドはないのか!

タップで自由自在に移動しながら、他の島民との会話を繰り返し、探偵のように壺の在り処を探っていこう。

マルチエンディング形式なので、様々な結末を見ることになるが、そのルートもメニューで確認できるようになっており、別ルートに入るためのヒントも提示されるので、周回すればコンプリート可能だ。

それでもわからない場合は、動画広告の視聴でスペシャルヒントをもらおう。

島民や他キャラクターには、会話や調べることで図鑑に登録される。

この図鑑ではそれぞれの「行動をカメラで追う」ことができるので、謎の解明に大いに役立つ。常に確認しながら動くことで、変化する言動などを捉えることができるだろう。

探索と会話からのアイテム入手、そのアイテムの使用、という順番を繰り返していけば、必ず道は開ける。

画面左上に常に時間が表示されているのでかなり緊張感があるが、時間切れでゲームオーバーになっても、キャラクター情報とヒントは残ったまま再挑戦できるので、繰り返しのプレイで必ずクリアできるようになっている。

グラフィックや音楽

グラフィックやBGMなど総じて完成度が高く、芸術性の高い美として成立している。

とにかく世界観の構築が上手く、炎のゆらめきや歩く音の1つも意味のある効果となっており、あらゆるシーンに「酔う」ことができる。

ドット絵だからこそ生まれる幻想性や寂しさと儚さを見るだけでも価値のある作品。

その独特さ故に敷居の高さを感じるユーザーもいるかもしれないが、雰囲気が感性と合えば、これほど心地好く感じられるゲームもないだろう。

総合評価

とにかく雰囲気のある作品。幻想性やダークな空気感に興味のあるユーザーは、ぜひとも試してみてほしい。きっとこの味わい深いゲーム空間は合うのではないかと思う。

逆に、アクティブさや奥深いゲーム性を求めるユーザーにはちょっと向かないところがある。なにせ移動は遅く、演出も雰囲気を重視するあまりにゆったりとしている。あらゆるシーンで、プレイヤーは「間」を体感することになるのだ。

また謎解きゲームとしては簡単な方で、ヒントも多く、チャートで進行具合も確認できるなどシステム面でも優しい。達成感はきちんとあるが、頭脳をフル回転させるような高度な内容ではないので、アドベンチャーゲームに慣れたユーザーにとっては物足りなさを感じる人もいるかも。

そういった意味でも、やはり本作の主題は「物語と世界そのものを楽しむ」ということであり、それを求めるユーザーのための作品であるといえる。

独特な世界に浸り、異空間の散歩を楽しむことができるゲームなのである。

投稿名:マジョのシマ |カテゴリ:アドベンチャー|投稿者:|投稿日:1月3日

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