本作は、ユニット4体によるパーティ編成で、ひたすら画面左へと進軍し、敵を蹴散らしていくといった、きわめてシンプルなファンタジーRPGである。
何かに例えるなら……大昔のゲームであるが「ボコスカウォーズ」といったところか。そうしたシンプルなゲーム性に、昨今のクリッカーゲームの要素が加味され、合成したようなゲーム内容となっている。
王道ファンタジーの雰囲気でありながら、プレイヤーが操作するパーティが勇者パーティではなく魔王軍パーティであるというのがちょっと変わったところ。
また、左に進ませるか右に戻すかだけという、実にスマートフォン向けゲームらしい究極にシンプルな操作でありながら、育成や仲間モンスターの収集などやり込み要素満点なのは、高く評価できるところだと思う。
誰もが自由な攻略方法で気楽に楽しめる作品である。
ストーリー
主人公は、かつて人間たちの希望である勇者に敗北してしまった魔王の息子、魔王ジュニア。
ある日、魔王より、平和になった世界ですっかり腑抜けてしまった魔物たちの根性を叩きなおしつつ、人間たちへの復讐を果たしてほしいと命じられる魔王ジュニア。
立派な魔王を目指して努力を重ねるジュニアは、はたして任務を達成することができるのであろうか。
ゲームシステム
とにかくパーティの編成をしながら左へと進み続けるだけの作品なので、特にチュートリアルなどはない。
魔王様から与えられる初期パーティを選んだら、早速左へと進んでいこう。
初期パーティはスライムやゴブリンといった王道RPG定番のモンスターから、チキンにアニマルといったユニークなものまで揃っている。
すぐに仲間は増えていくので、とりあえずは好きな見た目のものを選んでしまっていいだろう。
画面左下に大きく表示された左への矢印。これをタップすると、ぴょこんとパーティが左に動く。
フィールドに出て、右に動かせば、当然城に戻ることになる。帰還すれば回復と復活、そして魔王様からたいへんありがた~いお言葉を頂戴することができるだろう(笑)
スピードからメニューのカラーまで自由に設定できるので、最も自分がプレイし易い環境に合わせておこう。
キャラクターの数がとにかく豊富で、どれも個性的。
個々の強さだけでなく、パーティ編成による特殊効果なども発生するので、アレコレと編成を試してみるのが楽しくなる。
攻略に必要なキャラクターや、好きなキャラクターを中心に、どんどんレベルを上げていこう。
フィールドで敵と相対すると、そのままポコポコとバトルが始まる。
その時にタップすれば、控えのモンスターがどんどん加勢し、画面はどったんばったん大騒ぎに。
チュートリアルはないものの、常に画面上部にガイドやコメントが表示されるので、何の迷いもなくゲームを進めることができるはずだ。
ガンガン進軍して、ボスを撃破し、人間たちの住む街を目指そう。
……時に勇者パーティに遭遇してしまうこともあるが、魔物みんなで力を合わせ、なんとか対抗してみよう。撃破できれば、大量の経験値を獲得することができるぞ。
グラフィックや音楽
グラフィックやサウンドはレトロゲーム様式で作られており、シンプルゲーム的なライトさでありながら、なんとも味わい深いものになっており、クオリティは決して低くないと感じられるかもしれない。
プチキャラ的な可愛さのあるモンスターデザインも良く、キャラクターや世界観に親しみを覚えることもできるだろう。
またそうしたキャラクターの数がとても多いことも、大いに魅力的な要素であるといえる。
さらに数が多いだけでなく、1体1体にきちんとステータスの微細な調整や、ユニークな固有スキルの設定、そして成長速度の違いなど、実に細やかな作り込みがなされており、育成だけでもかなりのボリューム感を得られるはずだ。
総合評価
単純だからこそ奥行きのある面白さがある。というゲームの根本的部分を思い出させてくれるような作品。シンプルゲームではあるが、なかなか侮れないものがある。
ゆるい空気、超簡単な操作、適度な難易度、気軽な内容、しかし突然出現する思わぬ仕掛けや設定などにハッとすることができる。決して退屈なゲームというわけでもない。
それでいて城に戻る度に、魔王から「お前は○○時間○○分をつぶした」と表示され、暇な野郎だと罵られるのがなんとも可笑しい。
タイトルそのままに、本当にちょうどいい「ひまつぶし」になるゲームなのであった。