本作は、1997年発売のPSソフト「マリーのアトリエ」から続く大人気シリーズ……通称「アトリエシリーズ」といわれるものの新作スマートフォン向けゲームで、20周年を記念した集大成的な作品となっている。
ゲーム内容は、シリーズおなじみの「錬金術」をテーマにしたもので、プレイヤーはフィールドを自由に動き回って採取した素材や、モンスターを撃破して獲得した材料を使って、アイテムや装備品を生成していくといったもの。
様々な依頼を達成していくうちにメインのストーリーが進行し、やがて大きな事件に関わるようになっていく。
シリーズの歴代主人公などもプレイアブルキャラクターとして登場するという、お祭り作品でもあるので、シリーズのファンはきっと楽しむことができるだろう。
また、簡単操作で、錬金のガイドなどもしっかりとしていることもあって、初心者でも問題なく遊ぶことができるので、アトリエのシリーズの良き入門作ともなるのかも。
少しでも興味があるなら、これを機にぜひ触れてみてほしい。
ストーリー
ゲームの舞台となるのは、ブレセイル島という神秘性のある自然豊かな島。
そこにはアカデミーと呼ばれる、魔法学や錬金術、機械学や秘蹟学という学問を学ぶことができる研究機関があり、プレイヤーはそこの生徒として学問に励むことになる。
相棒の妖精「ペパーミント」と共に、学校側から次々と出される課題に挑んでいくと、やがて様々な事件にも遭遇し、隠された謎が少しずつ明らかになっていく……。
ゲームシステム
ゲームを開始すると、まずはプレイヤーの操作する主人公キャラクターを男女どちらかから選択することになる。
後から変更可能なので、まずは第一印象などで直感的に選んでしまっていいだろう。
ちなみに男性キャラクターのボイスは八代拓で、女性の方は花守ゆみりとなっている。声優で選んでしまうのもテだ。
様々な人物と関わり、課題や依頼をこなすことで物語が進行していく。メインクエストと並行して、サブクエストに挑むこともできる。
ついつい寄り道の方にばかり力が入ってしまうことも……。
キャラクターや装備はスマートフォン向けゲームおなじみのガチャで獲得できる。
だが、メインキャラクターはストーリーを進めていけば仲間になるし、強い装備などもいくらでも錬金術で作り出すことができるので、ガチャ頼みのゲームには決してならない。
基本的には、クエストをチェックし、クリアしていくことになるが、前述の通りサブクエストに集中してもよく、自由度はなかなかに高め。
クエストは採取からモンスター退治、特別なアイテムの生成など、様々。クエストを通じての出会いから、仲間が増えることもある。
シリーズで綿々と受け継がれてきた錬金システムは実に完成度が高く、ゲーム性豊かなものになっている。
それでいてガイド機能などがしっかりしており、初心者でも問題なく遊ぶことができるようになっている。
育成要素も豊富で、装備品を整えていくだけでもかなりの充実感を得られる。見た目用の装備を別に設定できるなど、行き届いた配慮が実に嬉しい。
好きなようにキャラクターを着飾ってみよう。
ゲームの舞台は島だが、なかなかに広大で、探索し甲斐がある。
謎を秘めた場所もあり、冒険心が擽られる。
バトルはセミオート形式。
装備したスキル攻撃は、味方同士で同時に繰り出せば、CHAINボーナスが発生し、より強力なものとなる。
奥の奥まで作り込まれたフィールドを自由に駆け回り、島中を冒険して、様々なクエストに挑んでいこう。
さらに本作にはマルチプレイ要素も加えられており、他プレイヤーとの協力プレイも可能になっている。
プレイするほどに世界観が深まっていくことだろう。
デザインや音楽
シリーズ特有の淡く幻想的なキャラクターデザインと、なんとも可愛らしいSD調の3DCGが見事に噛み合ったグラフィックは、たいへん見応えがあり、印象深い。
背景や音楽なども良く、どのシーンも上質のファンタジー世界の雰囲気をしっかりと確立させていて、スマートフォンの小さな画面でありながら、ゲーム世界への没入感が強いものになっているように感じられた。
また、アイテム作りが主題ということもあって、さすがに装備品などのバリエーションが豊富で、やり込み要素はたいへん高いものになっている。
見た目反映とステータス反映の装備を別々に設定できるなどのサービスは、さすがによくわかっているなぁと感心するばかり。
メニュー画面など、全体的にしっかりしたゲームデザインで統一されており、どこまでも遊び易い、というのも大きな魅力の1つといえるだろう。
総合評価
アトリエシリーズのファンならば、間違いなく楽しめる作品。
そして、遊び易さや適度な難易度により、ゲームが苦手というライトユーザーでも楽しむことができるようになっており、幅広い層のユーザーにオススメすることができる作品でもある。
バトルなどゲームのテンポが良いというだけなく、スタミナ制などもなく、好きなだけ遊び続けられるシステムになっているため、ついつい止め時を忘れてしまいそうになるほどハマってしまうこともあるかも。遊ぶ時間や場所には注意が必要だ。